【マーケターインタビュー】具体的な〝道具〞を使って「考える」選択肢をたくさん出せる人になろう!(2019年9月号)

マーケターインタビュー
2019 Vol.28
【マーケターインタビュー】具体的な〝道具〞を使って「考える」選択肢をたくさん出せる人になろう!(2019年9月号)
2003年の初版発行から16年目の今年、第41刷が発行されたロングセラー『考具』。

売れ続ける理由は、「考える」ための手法、アイデアを深める方法はいつの時代も求められているから。

時代が変わっても、どんな場面でも役立ち、多くの専門家が絶賛する『考具』について、著者の加藤昌治さんに伺った。
株式会社博報堂
PR局 シニアPRディレクター

加藤昌治(かとう まさはる)

1994年株式会社博報堂入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書『考具』(CCCメディアハウス 2003年)は、2019年に第41刷を発行するロングセラー。他に、『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』(CCCメディアハウス 2017年)など。

https://coquets.jp

「考えろ」という抽象的な指示 応えるため探した具体的な方法

この本を書いたのは、入社6年目の2000年、畑違いの金融業界から中途入社した後輩の問いがきっかけでした。ある企画に対して営業担当から「アイデア持ち寄ろうね」と言われたときのこと。「それ、どうすればいいんですか」と後輩に質問され、「紙に書けばいいじゃん」「どんなふうに?」というやりとりがありました。具体的な作業が分からないことに気付いて示した、「情報収集」「アイデア出し」「企画にまとめる」という大きな3ステップが、この本の軸になりました。

自分も入社間もない頃はアイデア欠乏症もいいところでした。先輩からの「考えろ」という指示はものすごく抽象的で、アイデアは全く浮かびません。片っ端から「アイデア」と名のつく本を読みあさり、さまざまなノウハウを試し、自分にとってまあまあいいやり方、あるいは汎用性のある方法をストックしました。

その後、いろいろなつながりやご縁で本を出すことになりました。狙いとしては、遅れてやってきた後輩たちのために、また、ポテンシャルはあってもやり方が分からない人が〝発火〞する導火線のようなものを提示する内容にしました。

カラーバスやマンダラート 自分に相性がいいものを探す

本では、必要な情報を集めるための考具、アイデアが広がる考具などを紹介しています。例えば前者は、自分で決めた色をチェックする「カラーバス」(バスはBATH、色を浴びること)や、人の話に聞き耳を立てる「間接街頭インタビュー」、本や雑誌の必要な部分を〝画像〞として取り込む「フォトリーディング」など。それらを使って集まった多くの情報をもとにアイデアを出したら、次にアイデアを広げる考具を使いましょう、としています。手書きのアイデアスケッチ、シンプルなフォーマットに関連を書き込む「マンダラート」、放射線状に考えを展開させる「マインドマップ」などなど。この本では「まあまあベターなもの」を提示していますが、しょせん「道具」なので人によって相性があります。まずは日によって、課題によって使ってみて、相性がいいものをいくつか持っていると便利だと思います。
『考具』1620円(税込・CCCメディアハウス)

既存の要素の組み合わせでアイデアは生まれる

あらためて、アイデアってなんでしょう?私が仕事の実践上、〝使える〞と思う定義は、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」というもので、『アイデアのつくり方』(ジェームス・ウェブ・ヤング著)で提示されています。これは、ゼロから生まれるアイデアは存在しないことを教えてくれます。どれほど素晴らしいアイデアでも、その発想のもとになったアイデアがあると考えると、とっても気が楽になりませんか?

もう一つ、私の中に「アイデアは企画の素である」という定義があります。アイデア=企画、ではないということ。何か一つのアイデアがそのまま仕事上で通用することは非常にまれで、他のアイデアとくっついたり、種々の事情で変更されたりして、企画という最終系にまとまっていきます。だから、企画を作るときは ①つまらないものも含めてとにかく多くのアイデアを出す時間、②良さそうなものをピックアップする時間、③企画にまとめる時間という、3つの時間を持つことが必要です。

考えることは、選ぶこと 「選択肢1」を禁止する

「考えることは、選ぶこと」でもあります。選ぶためには選択肢が必要で、選択肢を増やせるよう経験を重ねることが重要です。それは難しいことではなく、日常で鍛えることができます。例えば、ランチタイムに外食するとき、「いつもの店で、いつもの料理」という「選択肢1」を禁止してみてください。普段食べているそばのトッピングを変える、増やす、そばをうどんに変える。そんなことでも自分にとって新しい体験になり、選択肢が増え、繰り返しているうちに選択肢を探すことが行動習慣になり、アイデアマン&アイデアウーマンになれます。

日常や仕事で選択肢を探す 行動習慣を身に付ける

2014年ごろから、自分としては「考える、はスポーツ」と結論づけています。スポーツには競技ごとに特有の「体と頭の動かし方」がありますよね。それを体得し、反復練習で自然に体が動くようにならなければ、いきなり試合では活躍できません。この本には私の失敗例や試行錯誤した経験も書いているので、考えたりアイデアを出したりするプロセス、つまり体と頭の動かし方を読者の方が追体験することができます。ただ、読後に「よし、わかった」と思っても、きっとほとんどの人は実際にやらないですよね。だから、体験してもらう場としてワークショップも開催しています。
日々の生活はさまざまな場面で選ぶことに直面しますし、仕事というのも社会に対して選択肢を提供していることですよね。選択肢を常に探そうとする行動習慣が身に付けば、仕事でも具体的な選択肢がどんどん出てきます。経験が足りない分は道具で乗り越えながら、選択肢をたくさん出せる人になりましょう。
ワークショップでは、たくさん紙に書き出し、考えたりアイデアを出したりするプロセスを体験する

インタビュー後記

加藤さんとは『考具』が発売されてすぐにワークショップセミナーをお願いしたことがあります。あれから14年の歳月。41刷を更新したと聞きご連絡しました。今月号のテーマでもあるマーケターの仕事術において、「考える」「アイデアを出す」「企画を創る」といったことは、テクノロジーが進歩しても人間に求められる基本中の基本。加藤さんの本が売れ続けていることはその証明だと思います。アイデアが豊かな人もそうではない人も「方法論」を知っているか否かでで、アウトプットが大きく変わります。近々、加藤さんをゲストに招いたワークショップを検討中です!
Interviewer
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役
日野 佳恵子

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