【マーケターインタビュー】対談:青木幸弘教授×日野佳恵子 現代女性とライフコースマーケティング(2017年7月号)

マーケターインタビュー
2017 Vol.2
【マーケターインタビュー】対談:青木幸弘教授×日野佳恵子 現代女性とライフコースマーケティング(2017年7月号)
シリーズ ─ 新・女性消費リーダーを探る

学習院大学青木幸弘教授の研究室とHERSTORYのシンクタンク「女性のあした研究所」の共同で、複雑に変化する女性像をリアルな姿に見える化するプロセスをシリーズで紹介します。

横山 顕弘(よこやま あきひろ)

株式会社ハー・ストーリィ 取締役/シンクタンク「女性のあした研究所」所長
関西大学工学部卒業後、デロイトトーマツコンサルティングに入社。2007年、(株)ハー・ストーリィに入社。16年より現職。

青木 幸弘(あおき ゆきひろ)

学習院大学 経済学部 経営学科 教授/経済学部長
一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。関西学院大学商学部助教授を経て、1995年より現職。専門はマーケティング。特に消費者行動論、ブランド戦略。

対談(第2回):現代女性とライフコースマーケティング

女性市場を捉える上で、なぜライフコース視点が重要なのか?

横山 共同研究をさせていただいていますが、改めて、ライフコース視点について詳しく教えていただけないでしょうか。

青木 ライフコースとは言葉通り、人生の道筋であり、人生行路のことです。私たちは一生の間にさまざまな人生上の出来事、すなわちライフイベントを経験します。「就学、就職、結婚、出産」などです。そこで「夫や妻」「父親や母親」といった役割を獲得したり、喪失したりします。ライフコースは、そうしたライフイベントや社会的役割の配列としてとらえることができます。こうしたライフコースの視点から、女性の多様な人生や生活を見ることで、その背景やメカニズムを理解することができるのです。

横山 そうですね。女性にとって人生の選択肢が増えている現在、結果として、多様な人生の可能性への関心が高まっています。だからこそ、ライフコース視点は重要だと考えています。そして、研究当初に先生からいただいた助言「女性市場を分けやすい視点ではなく、分けなければならない視点、とらえなければならない視点でおさえる必要がある」という言葉が心に刺さっています。

青木 そうでしたか。例えば、デモグラフィック・データは、細分化しやすいがために、市場自体を細分化しすぎてしまう傾向があると思います。市場が縮小しているにも関わらずです。また、因子分析やクラスター分析といった統計技法が発達した結果、意地の悪い言い方をすれば、調査の数だけ異なるパターンを作り、微細な違いを誇張した見せ方になってしまっていると思います。だからこそ、今一度、女性市場全体を俯瞰してとらえなおす必要があるのではないでしょうか。

現代女性と多様化するライフコース

横山 まさに、研究当初は女性市場の細分化にこだわってしまい、先生にこの点を厳しく指摘いただきました。

青木 過去を少し振り返ると、1960年代から70年代初めにかけてライフコースの標準化が進み、最も専業主婦化が進んだのは団塊世代でした。みんなが同じコース。標準的なライフコースとして卒業後就職し、結婚を契機に退職し専業主婦となるコースを歩んでいた時代には、単線型のライフサイクル、ライフステージを想定し、各ライフステージ上での差異をライフスタイルとしてとらえていたわけで、それなりに意味がありました。しかし、現在は違います。昨年放送された、逃げ恥、東京タラレバ娘、NHK朝の連続ドラマ「べっぴんさん」などでも、現代女性にとって多様な人生の可能性や人生の岐路、選択肢といったテーマになっていたと思います。

横山 はい。2月のトレンドセミナーでは、日野から「解放区」と言うキーワードを発表し、「女性の人生、仕事観、プライベート」それぞれの解放による多様化の話を先生と共にさせていただきましたね。

青木 そうでしたね。ライフサイクルが複線化し、ライフコース自体が多様化している今日、多様性の源泉として、まずはライフコースの違いに着目すべきです。最初にライフコースに着目し、その中での年齢やステージの違い、価値意識の違い、というようにライフスタイルの多様性を読み解いていく必要があるということです。

横山 はい。2000年当時から日野がとらえていた女性の8つのライフコース、その構成比が大きく変わって来ているというアプローチと一致します。ライフコース視点で、女性市場のリアルをとらえていきたいと思います。

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