【マーケターインタビュー】女性起業家に学ぶビジネスの発展と永続。鍵は「あったらいいな」より「必然性」(2019年6月号)

マーケターインタビュー
2019 Vol.25
【マーケターインタビュー】女性起業家に学ぶビジネスの発展と永続。鍵は「あったらいいな」より「必然性」(2019年6月号)

【Marke-jin(vol.14)】女性起業家に学ぶビジネスの発展と永続。鍵は「あったらいいな」より「必然性」

令和という新しい元号を得て、歴史的なターニングポイントを迎えた日本。今あらためて世界へ向けて新しい日本をつくっていくにあたり、私たちが目指すべき次世代のリーダー像、持つべき考え方とは何か。

世界4大会計事務所の1つであるEYの日本におけるメインファームであるEY新日本有限監査責任法人の藤原由佳氏にお話を伺った。

EY新日本有限責任監査法人 藤原由佳(ふじわらゆか)

EY新日本監査法人入所後、多数の上場企業の監査業務に携わりながら、公開準備会社の監査やIFRS導入支援に係る業務に従事し、執筆も多数関与。また、法人内外に対する会計分野やD&Iのセミナー講師を複数務める。女性経営者ネットワークEWWの立上げメンバー。課外活動として女性活躍、ダイバシティの課外活動にプロボノとして随時関与。

女性経営者のモチベーションを支えたい、EWWプログラムで表彰と支援

EYでは、女性アントレプレナー(起業家)の表彰・支援を目的とするプログラム「EY Entrepreneurial Winning Women(以下、EWW)」を提供しています。

立ち上げ当初は数名の女性経営者ネットワークでしたが、現在は1千数百人を超え、海外のネットワークともつながっています。プログラム内ではビジネスコンテストもあり、女性経営者のモチベーションにつながるきっかけになりたいという思いで始まりました。

ファイナリスト5名に選ばれると、EYグループ全体の国際的なアントレプレナー表彰制度で日本の一員としてモナコに招待されます。現地では世界へ向けてコメントを発信できたり、その様子が弊社ホームページに掲載されたりと、大きな飛躍のきっかけになっています。

コンテストの基準は厳しいかもしれませんが、成長意欲のある方には非常にメリットとやりがいのあるプログラムだと思います。
女性アントレプレナーの表彰・支援を目的とする「EY Winning Women 2017」の表彰式

手前の5名がファイナリストで、右端は『【特集】社会貢献型ビジネスを大学時代に起業。飲食店の予約が給食支援になるアプリ(2019年6月号)』で取材している株式会社テーブルクロスの城宝薫さん

最先端ビジネスで活躍する女性経営者、「経営者」は20代の職業選択の1つに

数年前までは、ある程度大企業で働いて出産などで辞めざるを得ない状況になったが、社会の一員として働きたいと起業して身の回りの問題を解決したり、女性視点のビジネスが多かったと感じます。

しかし今は、ヘルステック、フィンテック、人工知能など、最先端のビジネスをやっている女性経営者も増えていて、中には男女関係なく行われるビジネスコンテストで入賞するレベルの方もいらっしゃいます。年齢層も以前は30代後半から40代前半が中心でしたが、20代、30代、40代と幅広くなってきていて、リーダー像はバラエティー豊かになっていますね。

興味深いのは、20代で経営者になる理由です。大企業に勤めることに魅力がなくなっていると言われる今、彼らの職業選択観が変わってきたようです。

大企業に勤めるか、ベンチャーに勤めるか、でもどちらも雇用される側なら、自分のやりたいことを実現させようと経営者になる。20代だからこそのモチベーションは彼らにしかないので、経営経験がないところは大人の知恵を借りて、大人も未来を創造するイメージで力や知恵を貸して、頑張っているようですね。

ビジネスの必然性が成長と永続の鍵、「あったらいいな」は一時的な流行に

市場があり、かつ、そのビジネスに必然性があるものが成長していくと考えています。世の中の大半の人が「ぜひあってほしい」と思うものは永続的に残るけれど、「あったらいいな」は一時的な流行で終わってしまうと感じます。

その話で言うと、最近では食の文化をITで変革し、人手不足の日本において食という重要な文化と飲食業をサポートしている「トレタ」は本当に改革者だと思います。このようなリーダー的なベンチャーは各業界にいらっしゃると思いますし、もちろん、女性経営者でもたくさんおられます。

女性経営者の例だと、「アジアンブリッジ」という会社は、台湾と日本それぞれの習慣を熟知している日本人女性が、素晴らしい日本製品をアジアに紹介したいと思い立って起業した会社です。

定期購入という越境ECモデルを台湾に展開したところ、爆発的に成功し、現在は中国、ベトナム、タイ、韓国と広がっています。アジアでは良質な日本製品が欲しいという強いニーズがあり、日本では国内の消費力低下という問題から、中小企業が海外展開したいというニーズがあったのです。

彼女は越境ECモデルをパックにして日本の中小企業に提供することで、永続的な成長を実現しています。必然性は国や時代で変わりますが、うまくマッチすると成長できると思います。

令和時代も永続できる企業の3要件、大企業の役割はインフラづくり

企業としては、世の中に何が必要かを見極める能力・それを達成する能力・人を巻き込み統率する能力を持ったリーダーと、それをサポートする一部の人材は必須ですが、それ以外の場所や道具はクラウドなど技術の発展で重要ではなくなっていくのではないでしょうか。

①明確な課題認識、②解決しようとする思い、③実行しようとする人という3つの要件が揃えば、企業は成立し、永続できるのではないでしょうか。

そして大企業の役割はインフラ作りです。当たり前の同じことをコツコツ積み重ねて世の中の土台をつくるには、大きな予算と“大半性”が必要だと感じます。

“大半性”とは、例えば「JALとANAがそう言うなら、日本の航空業界の常識はこうなる」というような大半の意見=常識をつくる力があるということで、この役割は大企業でなければできないと思います。

そしてベンチャーは、大企業ができない部分のイノベーションを起こす役割があります。大企業もベンチャーも、お互いの存在があってこそ、お互いの役割を果たすことができるのではないでしょうか。

個人レベルの話なら、まず自分は何をしたいのかという明確な思いを持ち、経済の動きを見極める目を持ち、行動する。自分の特性を生かして、大企業でもベンチャーでも、その場所で自分の役割を自分が納得できるように果たすことが重要だと思います。

ただ、大企業には社風という文化があり、新しいものやイノベーションが苦手です。社風のつくり方で人間も変わります。自由な発想を促すには、社風の見直しも重要ではないでしょうか。
日本、オーストラリア、中国、インドネシアなどから約40名の女性経営者が集まった「2018年度EY Entrepreneurial Winning Women™ アジア太平洋・日本会議」の様子

プログラムで女性起業家を支援、いずれは女性管理職支援も

私たちは「EWW女性起業家アクセラレータープログラム」で10人の女性起業家を支援しています。あと一歩の後押しがあれば卓越した経営者として世の中を動かせる女性に、30人のメンターを集めて総合的にサポートしています。

起業家と支援者が集まる社会の仕組みを目指し、将来的には女性管理職向けにもスタートする予定です。

インタビュー後記

小柄で華奢な藤原さん。しかしその姿からは想像できないほど、質問に対してスパッと的を得た回答をされます。

たくさんの女性にお会いしてきましたが、こんなに明確に、シンプルに、わかりやすく話す方は初めてかもしれないと思うほど。飛び出すワードがとても勉強になり、インタビューでありながら思わずこちらの悩みや課題に答えていただいていました。

最近は、女性起業家のビジネスコンテストにとどまらず、メンターをつける支援も開始。「もう一歩」というビジネスが世に羽ばたくための後押しは、藤原さんの“天職”と感じる輝きでした。

Interviewer

株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役 日野佳恵子
文/安憲二郎

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