【マーケターインタビュー】村山らむね氏 ネット世代にバトンを渡すべき2019年 「どう感じるか」という自己評価が重要に(2019年1月号)

マーケターインタビュー
2019 Vol.20
【マーケターインタビュー】村山らむね氏 ネット世代にバトンを渡すべき2019年 「どう感じるか」という自己評価が重要に(2019年1月号)
日本経済新聞でのコラム連取り寄せコンシェルジェとして、消費者視点からEコマースを語る村山らむね氏は、人びとの買い物行動を通じて、時代のいまとこれからを鋭く考察している。

村山氏が語る2018年と今後の動きとは。
有限会社スタイルビズ
代表取締役
村山らむね(むらやまらむね)

慶応大学法学部卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経て、消費者目線のマーケティング支援のスタイルビズ設立。企業のソーシャルメディア運営やeコマース関連のアドバイザーを務める。日経MJ、日経新聞の連載コラム「奔流eビジネス」など執筆多数。

文・写真/安 憲二郎

オヤジ化した女性は痛みに気づかない #Me Tooに見る女性“性”を取り戻す動き

ネット上では今年もさまざまな社会ワードが飛び交った。私は長くネット上での一般消費者の声・動き・感情を掴み、企業にあるべき姿やメッセージの出し方、コミュニケーションについてアドバイスをしてきた。
その一つに女性をキーワードとしたものには、#Me Tooという言葉が記憶に新しい。しかし、こうした動きに首を傾げ「私の時代は当たり前だったわ」という男性社会でオヤジ化して育った女性たちのコメントも少なくない。多くの一般人の心の痛みを噴出させ、それが共感や同調となって大きな運動に代わるネット社会。この心の痛みをしっくりと感じとれる世代ととれない世代がある。正直、私も含めて私の世代は後者だ。

他者評価からの解放 女性たちが自己満足に立ち戻りつつある

「 脇汗は男性から見ると不愉快」というTwitterが炎上した。そこにあったのは「脇汗は自分が不愉快だから対策するのであって、他人から見て不愉快だから対策するのではない」という違和感。ここに他者評価から自由になろうとしている女性の意識変容がある。もはや他者評価はあまり意識になく、自分が自分で評価できていればよいという時代に大きく切り替わっているのだ。
誰かから見て触りたくなる髪の毛、ではなく「自分が触って気持ちがいいから」このシャンプーを買う、というように、商品づくりにも他者評価から自己評価への転換が必要となる。SNSでの「いいね」も、誰に評価されているかよりも“数” が重要で、つまり自己満足に近い。基本的に自分が気持ちいいかそうでないかに移ってきており、商品のネーミングにも、自分の気持ちがどうなるかという表現が多くなってきている。
今年で23年目になるブログ「らむね的通販生活」。生きている限りゆるゆると続けていく予定だという村山氏のホームベース

人生100年時代とAIの普及 求められるのは自分の居場所と重要感

これから重要になってくるのはモノではなく、“必要とされる自分であること” だ。人生100年時代に突入し、仕事もAIに取って代わられる。そんな未来には、年をとっても自分が求められるという世界観や、AIにできないことを自分ができるという安心感、つまり居場所と自己肯定感が大事になってくる。モノを売るときでもコミュニティーの中でも、強く打ち出すべきは“あなたが必要だ、あなたが参加することでよくなる、あなたの○○な力が必要なんだ” という訴え方だ。特に居場所は若い人たちにとても重要で、いま元気な企業は社員にいかに“居場所感” を感じてもらうか、居場所を演出するかに力を注いでいる。映画「万引き家族」も、居場所がテーマだった。
良い例がWeWorkだ。基本的にはシェアオフィスという場所ビジネスだが、入居している人と人の“間(あいだ)” をつなぐことで時間と空間と人間の“3つの間” をうまく演出し、有機的に動いている。大企業ではイノベーションを期待してWeWorkでの仕事を推奨するところも出てきたほどだ。居場所や必要とされている実感をどう味あわせるかは、企業でも重要になってくるだろう。

ゼロから関係を作り尊敬を勝ち得る力 自分には“熱” と“やりたいこと” があ るか?

ヴィトンのスーツケースやハイブランドの時計で自分が優れた人間だとアピールすることが重要視され、消費社会でもそれがもてはやされてきたが、これからは逆だ。全身ファストファッションでも、相対する相手ときちんとコミュニケーションをとって人間関係を作り、尊敬を勝ち得る能力は非常に重要だ。それが教養だったり語学だったり何でも構わないが、ナップザックひとつで自分がゼロの状態から何かを構築することができるか、そういう力がいま問われている。
ゼロからでも目的を果たすことができるかできないか、“熱(情熱)” があるかないかだと思う。人生100年時代、単に長く生きるのはつらいことだが、熱があるか、やりたいことがあるか? を自らに問い、もしそれがあるなら100年だろうとそれ以上でも、主体的に生きられる。

予測よりも“熱” のある商品開発を 外国人の主体性を受け入れる寛容性も鍵

お客が欲しいものを予測する時代が終わっていく中、自分たちが熱を持って「欲しい!」と思うものを作るほうが早いし成功している。メーカーはマス的消費を考えるとグローバル企業には勝てない。またニッチな市場で生き残ろうとしても、調査や予測のバッファーはない。だからこそ自分が欲しいものを自分と同じようなコミュニティーに熱を持って売っていくのだ。客体化して作った商品は、自分が愛しているという熱のある商品には勝てない。
また人口が減る国内市場はシェアの食い合いだが、外国人に価値を分かってもらう海外市場は広がる。そこで重要なのが寛容性だ。外国人がどんな着方で浴衣を着ても、楽しんでもらえればよし。基本どおりでなくとも盆ダンスを楽しんでもらえればいい。それが市場を広げるということだ。日本は作り手の思いが強すぎて、買い手を主役にさせること、主体的に関わらせることが弱い。お客をお客のままにせず、体験させて主役にさせるところまで持ってきてこそ本当のサービスだと思う。
(上)グラウンドワークコーヒー「#ソロカフェ」の一環で、村山氏がカヌーの上でコーヒーを飲んできた時の様子
(下)高松に開いた澳オリーブ園のオリーブオイルの販売も手伝っている。地方創生のサポートも増えてきている

「#ソロカフェ」は飲み手が主役のカ フェ感。グラウンドワークコーヒーの 新しい取り組み

その視点で私がサポートしているのが、日本未上陸のグラウンドワークコーヒーと「#ソロカフェ」だ。これは、いつでもどこでもこの豆を挽いて飲めばそこが自分ひとりのカフェ=ソロカフェになるというもの。“カフェ感” を感じられるコーヒーとして、ストーリーを作っていこうと思っている。

インタビュー後記

ネット草創期の時代から楽天のメルマガやeコマースなどの分野で、度々名前を見てきた村山らむねさん。らむね的通販生活という自分のサイトでは、さまざまなネット通販のメリットや特徴、魅力を分析し、買物を楽しみつつ、通販コンシェルジュという独自の分野を確立した。一消費者目線を大切にしながら、企業のコミュニケーションのあり方に対してアドバイスをしている。
日経新聞の連載コラムも長く、日経と日経MJのwebコンテンツ記事にはバックナンバーで紹介されている。彼女の視点、切り口は売り手側にとっていつもハッとさせられる話題が多い。今やネットで買い物をするのは当たり前となった。2019年以降、当たり前だからこそ「自分軸」「熱が大事」という人間ならではの本質の価値にいくことを改めて確認させていただいた。
Interviewer
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役
日野 佳恵子

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