【マーケターインタビュー】ずっと長く働きたい。職種よりも条件を重視、働く女性の転職事情(2019年4月号)

マーケターインタビュー
2019 Vol.23
【マーケターインタビュー】ずっと長く働きたい。職種よりも条件を重視、働く女性の転職事情(2019年4月号)
男性に比べ、結婚や出産というライフイベントで大きく変化する女性たちのワークスタイル。

近年の転職市場の活性化に伴い、女性のキャリアアップや転職に関する動向にはどんな特徴が見られるのか。

女性の転職について確かな存在感を示している『女の転職type』で編集長を務める、小林佳代子氏にお話を伺った。
株式会社キャリアデザインセンター『女の転職type』
編集長
小林佳代子(こばやし かよこ)

2005年株式会社キャリアデザインセンター入社。雑誌、転職サイトで1000社以上の求人広告の制作を行う。制作職の新卒採用担当、働く女性向けメディア『Woman type』編集長などを経て2018年7月より現職。2児の母。

https://cdc.type.jp/

自分のキャリアアップよりも結婚・出産しても長く働ける環境を重視

『女の転職type』のユーザーアンケートによると、約70%の女性が定年または一生涯働きたいと考えています(2014年10月自社調べ)。
近年のユーザーの動きを見ると、いわゆるキャリア志向というより「自分らしく長く働きたい」「出産後も正社員として働きたい」という「環境重視」の女性が多いように見受けられます。サイトとしても、その気持ちを叶えられるよう、女性特有の検索軸、例えば「産育休活用事例あり」「残業少ない」「土日祝休み」「転勤なし」などを用意していますが、特徴的なのはそこに「職種」という軸を加えずに検索しているユーザーが一定数いること。自分のキャリアよりも「長く働けること」を最重要視する傾向が現れていると思います。

働く環境で探すが、決め手は「仕事内容」 「時代」と「自分」の狭間で悩む仕事観

一方、2016年にとった別のアンケートで、『「応募した」もしくは「応募したい」求人の詳細』について聞いてみたところ、1位は「仕事内容に興味があった」という答えでした。
転職先の「検索軸」は「環境」であっても、「決定軸」となりうるのは「仕事内容」。これは、とても興味深い結果だと思います。仕事は人生の時間の大部分を占めるものですから、やはり環境だけでは決めきれないですよね。
個人的な見解ですが、今は社会が女性に「がんばって仕事をしよう、子育てもしよう、管理職になろう」と求める時代で、ちょっと息苦しさを感じる方も多いのではないでしょうか。「その流れに乗りたくはないけれど、いい仕事で長く働いていきたい」という矛盾に似たものを抱えながら、自分らしく長く働ける環境を、文字通り試行錯誤しながら探しているように思います。

同じ検索を繰り返す「少し逃げたい」女性 応募ボタンをなかなか押さない転職活動

ユーザーのサイト内の行動を見ていると、「毎週同じ曜日、同じ時間にスマホで検索サイトから『女の転職type』を訪れ、仕事探しをして去っていく」という方が必ずいます。曜日時間は人によりますが、おそらく通勤時間帯や休み時間なんですよね。「よし、転職するぞ」と自宅でパソコンやスマホとにらめっこをするわけではなく、日々の仕事生活の中でふと「仕事を辞めたい」「新しい環境に身を置きたい」と考え、求人をいくつも見るのでしょう。応募するほどの強い動機ではないため何もせず、毎週同じように検索サイトから転職サイトに訪れ、同じ条件で求人検索を繰り返すというわけです。
もちろん、明確な意思と希望を持ち、スケジュールを決めて転職活動を行う方も多くいらっしゃいますが、私たちとしては前述した「ちょっと逃げたい」というきっかけから行動を起こす方にも、長く働きたいと思う仕事に出会わせられるサービスにしていきたいと思っています。きっかけがなんであれ、仕事や人生と向き合おうとするユーザーによりよい将来を提示していくことは、大きな課題の1つだと思っています。

経験より柔軟性や未来を重視する企業はある 年齢問わず、選択肢を増やす努力も

応募を迷っている方、特に20代で初めての転職をしようとしているユーザーには、もっと「自信を持って選択肢を広げて」と伝えたいですね。新卒入社した会社や仕事が「一生モノ」だとは限りません。むしろ社会に出て色々な仕事を知り、自分を知り、初めて「やりたいこと」に気づく人も多いと思います。
「転職=即戦力」という求人ばかりではなく、例えばエンジニア、webデザイナーなどの専門職でも、「未経験歓迎」の求人はたくさんあります。経験やスキルではなく、「未来」に期待している企業がたくさんあるということを知って、転職活動をしてほしい。自分の選択肢を広げてほしいと心から思います。私たちも、外部のプログラミングスクールとコラボしたプログラミング体験イベントを開催するなど、新しい軸やスキルにつながる場を設けています。こうした取り組みはもっともっと増やしていきたいですね。
プログラミングスクールとコラボした未経験者向けのプログラミング体験イベント
女性はライフイベントによる変化が大きく、その都度働き方を見直すタイミングが訪れます。これは嬉しい話ですが、定期的に行っている転職イベントに、ベビーカーで参加される方が増えました。「ママだから」という理由で転職を諦めるというのは時代遅れになりつつあるということでしょう。
今は、「バリキャリ」か「専業主婦」だけではない色々なロールモデルがいます。自分らしいキャリアがどういうものか、過去にとらわれず未来を見て考えてほしいと思います。

企業側もあぐらをかいてはいられない 長く働いてもらえるための環境づくりも重要

女性の転職市場はこれからも活発化していくと考えています。『女の転職type』がサービスを開始した14年前から比べると、ユーザーである女性たち自身の転職に対する心理的なハードルも下がっているように感じますし、多くの転職サイトの中に「女性歓迎求人コーナー」が設けられるようになりました。女性専門の人材紹介や業種などで細分化された女性専門の転職サイトも生まれています。
だからこそ、受け入れる企業側も、彼女たちに長く働いてもらえるための環境づくりは意識し続けてほしい。制度だけでなく、例えば女性同士のコミュニティを作るなど、ソフト面から変えていくのも大事でしょう。
今後、男女問わず働き方はどんどん変わっていくことが予想されます。柔軟な働き方をかなえることは、企業にとって不可欠な要素。まずは、課題が健在化している女性向けの環境づくりから取り組んでみてはいかがでしょうか。
『女の転職type』トップページ

インタビュー後記

 女性の仕事に対する意識や就職、転職の事情をお聞しようと株式会社キャリアデザインセンターの『女の転職type』小林佳代子編集長をお訪ねしました。
 小林編集長のお話で興味深かったのは、「女性はできるだけ長く勤めたいと思っている」ということです。そのために、結婚や出産、育児の時期にも勤められる会社として必要な条件や環境を検索している、という姿です。
 今、世の中全体は「女性管理職を増やし、戦力にしたい」という空気が強くなっていますが、私らしい働き方はどうあるべきなのか、という女性たち側の試行錯誤の様子が見えるようです。「この会社ではちょっと難しい」と思われる前に、女性たちが長く働き続けられる会社づくりはどうあるべきか、「働く環境」に何の条件を求めているのか、今一度、向き合っていく必要を感じました。
Interviewer
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役
日野 佳恵子

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