【マーケターインタビュー】対談:青木幸弘教授×日野佳恵子 女性はターゲットではなく、ライフコースで見分ける(2017年6月号)
マーケターインタビュー
2017 Vol.1

シリーズ ─ 新・女性消費リーダーを探る
学習院大学青木幸弘教授の研究室とHERSTORYのシンクタンク「女性のあした研究所」の共同で、複雑に変化する女性像をリアルな姿に見える化するプロセスをシリーズで紹介します。
学習院大学青木幸弘教授の研究室とHERSTORYのシンクタンク「女性のあした研究所」の共同で、複雑に変化する女性像をリアルな姿に見える化するプロセスをシリーズで紹介します。
横山 顕弘
株式会社ハー・ストーリィ 取締役/シンクタンク「女性のあした研究所」所長
関西大学工学部卒業後、デロイトトーマツコンサルティングに入社。2007年、(株)ハー・ストーリィに入社。16年より現職。
関西大学工学部卒業後、デロイトトーマツコンサルティングに入社。2007年、(株)ハー・ストーリィに入社。16年より現職。
日野 佳恵子
株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役
対談(第1回):女性はターゲットではなく、ライフコースで見分ける
日野 女性がどんどん変化してきましたね。
横山 日野社長は以前から、女性はターゲットで見てはいけないと言っていましたが、最近はその意味がよく分かります。私は女性像のマッピングを作成してきました。2000年に入ってから専業主婦を分類した「主婦ナビ7(セブン)」、2016年には特徴的な女性像(ペルソナ)を描いた「HERFACE15」などです。
横山 日野社長は以前から、女性はターゲットで見てはいけないと言っていましたが、最近はその意味がよく分かります。私は女性像のマッピングを作成してきました。2000年に入ってから専業主婦を分類した「主婦ナビ7(セブン)」、2016年には特徴的な女性像(ペルソナ)を描いた「HERFACE15」などです。
女性8コース、男性1コースのライフコースに着目
日野 女性は社会人になってすぐは独身の働く女性が圧倒的ですが、そこから枝(ライフコース)が分かれていく。女性は8コース、男性は1コース。男性は20代から仕事をし続けていく人が圧倒的に多いのに対して、女性はさまざまなライフイベントのタイミングで切れたり戻ったりする人が存在する。近年、そのコース選択の配分が大きく変化している。今、着目すべき点です(図1)。
横山 昨年からはライフコース・マーケティングの権威でもある学習院大学の青木幸弘教授と共同研究を始めました。このページでは、研究をシリーズで公開していく予定です。
日野 私は1990年にHERSTORYを友人と2人で創業しました。自身が結婚、出産をしたことで見えた世界に発見が多かったことがきっかけです。ママ友の女性たちの日常の会話には女性特有の発言がたくさんあった。当時、戸建ての家をオフィスにして事務所には子どもたちが遊んでいた。最近の待機児童問題のニュースを見ながら30年たっても女性たちが子育てをしながらのびのびと働ける環境が整っていないことに驚きます。
横山 その頃の話が書かれている日野社長の著書「クチコミュニティ・マーケティング」に衝撃を受けて私は入社しました。男性が読んでもHERSTORYの存在、考え方は社会に必要だと感じたからです。今は父親になって余計にそう感じます。
横山 昨年からはライフコース・マーケティングの権威でもある学習院大学の青木幸弘教授と共同研究を始めました。このページでは、研究をシリーズで公開していく予定です。
日野 私は1990年にHERSTORYを友人と2人で創業しました。自身が結婚、出産をしたことで見えた世界に発見が多かったことがきっかけです。ママ友の女性たちの日常の会話には女性特有の発言がたくさんあった。当時、戸建ての家をオフィスにして事務所には子どもたちが遊んでいた。最近の待機児童問題のニュースを見ながら30年たっても女性たちが子育てをしながらのびのびと働ける環境が整っていないことに驚きます。
横山 その頃の話が書かれている日野社長の著書「クチコミュニティ・マーケティング」に衝撃を受けて私は入社しました。男性が読んでもHERSTORYの存在、考え方は社会に必要だと感じたからです。今は父親になって余計にそう感じます。
採用説明会に主婦が殺到。ビルメン業界に風穴を開けた
日野 その大事な視点が、女性をライフコースでとらえると見えてくる。最初に提案したクライアントは山口県のビルメンテナンス業、サマンサジャパン株式会社でした。2003年です。高齢者中心だった職場に30代、40代の女性に来てもらいたいとご相談を受けました。女性の生き方は8通りあり、サマンサジャパンにとって必要な女性たちはどのコースの人たちかを導き、その女性に合わせた雇用形態と条件を創り出したところ、説明会に100人以上が押し掛けました。あの日は今でも鮮明に覚えています。その後、同社は発展して有名な企業になりました。私に自信と勇気をくれた会社です。
横山 学習院の青木教授の女性のライフコースの定義と、日野社長が経験から導いた女性の生き方(タイプ)は同じでした。学術的に証明されたことは感動でした。
日野 女性をターゲットとかペルソナ(特徴的な女性像)でつかむことはよくあるけど、ライフコースから導いたペルソナを設定し、さらにこれを実戦的にビジネスに活かせるように大学との共同研究を進めていきましょう。
横山 秋には、これまで誰も行わなかった、女性客の新たなとらえ方とライフコース別に創り出した実像のペルソナが出来る予定です。「ライフコース×ペルソナ」です。次回から青木教授と私の対談形式で紹介していきます。
日野 女性のライフコースの多様性に気づいている人はいるけど、今一番大事なのは、コース選択に異変が起きているということ。この異変を勝機ととらえれば縮少市場をライフコース視点で大きくとり直せるはず。楽しみです。
横山 学習院の青木教授の女性のライフコースの定義と、日野社長が経験から導いた女性の生き方(タイプ)は同じでした。学術的に証明されたことは感動でした。
日野 女性をターゲットとかペルソナ(特徴的な女性像)でつかむことはよくあるけど、ライフコースから導いたペルソナを設定し、さらにこれを実戦的にビジネスに活かせるように大学との共同研究を進めていきましょう。
横山 秋には、これまで誰も行わなかった、女性客の新たなとらえ方とライフコース別に創り出した実像のペルソナが出来る予定です。「ライフコース×ペルソナ」です。次回から青木教授と私の対談形式で紹介していきます。
日野 女性のライフコースの多様性に気づいている人はいるけど、今一番大事なのは、コース選択に異変が起きているということ。この異変を勝機ととらえれば縮少市場をライフコース視点で大きくとり直せるはず。楽しみです。
【対談(第2回)】現代女性とライフコースマーケティング(2017年7月号)

<対談相手>学習院大学 青木 幸弘(あおき ゆきひろ)教授/学習院大学経済学部経営学科教授。経営学部部長。専門はマーケティング。特に消費行動論、ブランド戦略。
【対談(第3回)】「ライフスタイル」VS「ライフコース」なのか(2017年8月号)

<対談相手>学習院大学 青木 幸弘(あおき ゆきひろ)教授/学習院大学経済学部経営学科教授。経営学部部長。専門はマーケティング。特に消費行動論、ブランド戦略。