マーケティングの基本〝PDCA〞を徹底。保育園や街で女性の服を徹底観察

女性マーケティング特集
2019 Vol.28
マーケティングの基本〝PDCA〞を徹底。保育園や街で女性の服を徹底観察
リブインコンフォートのカタログが完成するたびにチームメンバーで記念写真を撮影する(3時の方向にいる白地のトップスの女性が河原さん)
株式会社フェリシモ 「Live in comfort」 チームリーダー 河原恵美さん

累計30万本の販売実績を誇る「裏ボアパンツ」を解明!

2009年の発売以来、シリーズ累計約30万本を販売するフェリシモの「裏ボアパンツ」。30~40代女性をターゲットとし、生活に寄り添う服を提案するブランド「Live incomfort(リブインコンフォート)」の商品だ。ブランドが大切にしているのは、暮らしの中で気付く「こんな服があったらいいのに」「ここを改良してほしい」という顧客ニーズに、できるだけ応えるということ。

では、具体的にどのように取り組んできたのか?新卒入社当時からブランドに携わるリブインコンフォートのチームリーダー河原恵美さんを取材した。

「裏ボアパンツは、岐阜のメーカーの寒がりなおばさまをとにかく暖かくしてあげたい思いから生まれたものです。毎年少しずつ改良を重ね、売り上げを伸ばしてきました」と振り返る河原さん。ファンも生まれ、北海道のガラス工房からは10人以上のスタッフ全員が裏ボアパンツを愛用している集合写真とラブレターが届いた。

河原さんは自身について「私は決してトレンドに敏感ではないです。そこは弱点だと思いますが、トレンドはあくまでも流れていくものなので、着ていて心地よいことを重視し、トレンドは程よく取り入れるようにしています」と話す。トレンドはちょっとしたスパイス的な役割であり、「顧客が何を必要としているか」ということを何よりも分析し、改善を繰り返しながらファンを増やしていくというマーケティングの基本が生かされている事例の一つだ。
リブインコンフォートの大ヒット商品「裏ボアパンツ」は裏地が全面ボアの暖かさが人気 

トレンドを追いすぎない「半歩先」のマーケティング

裏ボアパンツの他にも、河原さんはモデルの浜島直子さんとのコラボレーションによる「はまじとコラボ」で、100アイテムを超える商品企画を手がける。最近では、「手を使わず履ける靴」をコンセプトにしたスリッポン「やわらかフラットシューティー」が、認知度とともに販売数を伸ばしている。
最近のヒット商品「やわらかフラットシューティー」はカジュアルスタイルがきれいに見えると好評 
数々のヒット商品を生み出す河原さんは普段、どのようなマーケティングを行いプランニングしているのか。前述のスリッポンは、河原さんの息子が通う保育園で企画のタネを見つけたという。

「保育園のお迎えで、毎日忙しく働くお母さんたちが脱いだ靴を思わず観察してしまったんです。ひも靴はなく、脱ぎ履きしやすいぺたんこの靴が並んでいました。その光景がきっかけで、フラットシューティーが誕生しました。そして、ただ楽な靴ではなく、靴下が見えないように甲を深くしたり、フラットだけれど少しだけかかとに高さをつけたりして足がきれいに見えて歩きやすい工夫をしています」と河原さんは話す。

商品を作る上で河原さんが大切にしていることは、あくまでも「流行を追いすぎない」ということ。流行しているアイテムでもちょっとしたストレスのある服は着たくないと考える。「今はビッグシルエットがはやっていますが、大きい人がビッグシルエットを着るとさらに大きく見えてしまいます。サンプルは3型くらい制作して、体形の異なるスタッフたちで試着し調整するということを行っています」と、新しいアイテムを仕上げるためのプロセスを話してくれた。

しかし、ヒットアイテムを生み出す一方で、失敗に終わるアイテムもあった。「ここ最近のファッショントレンドは、トップスをボトムスのおなかにインして、縦のラインを強調するスタイルが支持されています。そこでタイトなペンシルスカートを提案したのですが、全く売れませんでした。リブインコンフォートのお客さまは40代半ばから後半にかけての女性が多く、腰まわりやお尻などのラインがはっきり出てしまうアイテムは敬遠されることが分かりました」と分析する河原さん。そういった失敗も経験し、年代によって気になる身体のラインをうまく隠しながらも、程よいトレンド感が出るプランニングを行っている。
商品企画はまず商品のラインアップをスケッチで書き出すところから始まる
一問一答

Q.プライベートで仕事につながる視点は?
公園でもスーパーでも学校でも保育園でもお母さんのファッションをチェックしてしまう。

Q.仕事とプライベートの両立方法は?
子どもとゆっくりできるのは夜だけなので、家に帰ったら仕事は忘れて家族優先。家事は頑張りすぎない。子育ては適当にゆるく。

スタイリストと視察へ。ヒットを生み出すリサーチ方法

ヒット商品を生み出すために、河原さんは「自分自身を定期的に客観視することが大切」とも話す。「具体的には、年に2度、スタイリストさんと韓国へ視察に行きます。韓国はとてもファッション感度が高いですし、スタイリストさんにコーディネート提案してもらうことで、体形が崩れてきた自分には取り入れられないと思っていたことが良い意味で覆され、どのように取り入れられるかというのを判断できるようになります」

また、普段の生活の中で河原さんなりの視点でリサーチしていることもあった。「街や子どもの学校、テーマパークや動物園で、女性たちの気になるコーディネートの写真を撮影しています。忘れてしまわないように、写真の整理と併せてそのときの気づきや感じた気持ちを記録としてカレンダーに貼り付けています。そして、必要なときに引き出せるようにしているんです」

ブランドが育ってくる中で、河原さん自身の仕事への関わり方も大きく変化した。「長年ブランドに携わる中で、私のライフスタイル自体も結婚と出産によって大きく変わりました。特に産休期間は全ての仕事を周りに任せたのですが、それができたからこそメンバーに任せられる自分、メンバーを育てられる自分になったと思います」と話す河原さん。それぞれ得意なことを生かせるスタッフが集まりチームで取り組むことで、それまでのリサーチの視点にも幅や奥行きが出て、ブランドをより強固なものへと持っていくことができる。
Company Data
株式会社フェリシモ
兵庫県神戸市中央区浪花町59
078-325-5555
https://www.felissimo.co.jp/

リブインコンフォート
https://www.felissimo.co.jp/liveincomfort/

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