【商品開発】若い世代へおせち作り訴求する「はじめてのおせち」。タイアップ企画や動画によるPR方法で効果を上げる (2017年10月号)
女性マーケティング特集
2017 Vol.5

「はじめてのおせち」イメージ写真。
株式会社紀文食品
お正月のいわれ訴求・認知をあげるため活動をスタート
商品企画担当者/名古田さん、桜田さん。
昨年末よりスタートしたのが、「はじめてのおせち」シリーズ。主に魚肉練り製品などを製造するメーカーである株式会社紀文食品が、お正月に商品の売上を上げる動きとして始めた。2006年からお正月のいわれを伝える、いわれ認知率を上げることで、おせちの用意率が上がると仮説を持ち、おせちのいわれ訴求を開始。しかし開始当初、認知率、用意率ともに上昇しなかった。ターゲットが不明確なまま、いわれ訴求を続けたことが要因にあった。
ターゲットを「新婚+第一子出産主婦」に再設定
2016年末より新たにスタートした「はじめてのおせち」は、前回の反省点を踏まえてメインターゲットを「新婚+第一子出産主婦」に設定。人生の大きな節目を迎え、生活スタイルが変わる可能性の高い主婦に設定し「いわれ訴求・初めてのおせち」の活動をスタートした。企画を始める際に、再設定したターゲットから多くの声を聞くため、社内の女性社員へのヒアリングや、昨年6月にターゲット層を集めたグループインタビューも実施した。開発担当者はグループインタビューを通じ、若い世代にお正月のいわれ認知が低いことが分かり、改めていわれを伝えていくことが大切だと感じた。
お正月のパッケージデザインについても、グループインタビューの際に、「少し中が見えて可愛いデザインが良い」という声が多く上がった。ターゲットの年齢に近いデザイナーへ依頼、通常商品とは異なった可愛らしく手に取りやすいデザインに仕上げていった。
お正月のパッケージデザインについても、グループインタビューの際に、「少し中が見えて可愛いデザインが良い」という声が多く上がった。ターゲットの年齢に近いデザイナーへ依頼、通常商品とは異なった可愛らしく手に取りやすいデザインに仕上げていった。
消費者の意見を反映した「はじめてのおせち」シリーズ 商品パッケージ。
タイアップ企画PRイベント、WEB動画を配信し効果を出す
結婚情報誌ゼクシィとタイアップし、夫婦ふたり用の「Pair重」を発売。重箱は人気デザイナーによる今流行りのカリグラフィ文字が入ったスタイリッシュなデザインで販売した。WEBでは「はじめてのおせち」の作り方をわかりやすく説明したHOWTO動画と、若い世代に向けたバズ動画も制作・配信した。その結果、おせちPRイベントに参加したターゲットに明らかな変化が見られた。イベント参加者の88%が年明けおせちを用意、内35%が「実家でも自宅でも」おせちを食べている。昨年効果は上がったが、おせちを通じた家族との接点が不足していたことが判明。お正月を過ごす家族と接点を増やせるよう、今年は新婚+第一子出産主婦に加え、“その母”をターゲットとし新たな打ち出しをする予定だ。
COMPANY DATA
Review
商品の売上につながる新たな企画を開始したことで、より明確なターゲットが浮き彫りになり、反省点を生かしながら着実に課題をクリアし進めている。今までの“当たり前”を知らない世代へ伝え、“新しい使い方”で利用してもらう動きが必要になる。