【特集】白髪をすてきにするシニア向けの美容室「えがお美容室」(2019年5月号)
女性マーケティング特集
2019 Vol.24

INDEX
【アンノン族】動き出した新シニアの旅食趣美
1970年代、雑誌『an・an』や『non-no』の影響を受け、さまざまな土地へ旅行した「アンノン族」と呼ばれる若い女性たちがいた。それから半世紀近くたち、彼女たちの中心は60代以上となっている。若い頃、積極的に消費をした彼女たちは今も変わらずアクティブで、衣食住や美容、健康、旅行などへの関心が高く、従来のシニアのイメージを塗り替えようとしている。昭和・平成を生き、新元号を迎え新シニアとなる60代以上の女性たちが関心を持つ領域を探る。
取材・文/長濱有莉、水沼遥、岡崎彩子
取材・文/長濱有莉、水沼遥、岡崎彩子
白髪をすてきに! シニア女性のための美容室 髪・化粧・爪・服の総合店舗へ 「えがお美容室」株式会社サンクリエーション
60歳以上の女性が顧客の6割! 母親に紹介したくなる美容室
年を重ねても自分の美を追求したいと思う女性は多い。その一方で、シニア世代ならではの美の相談に乗ってくれる場所は限られている。シニア女性の悩みに寄り添い解決できる場所を作りたいと開業したのが、株式会社サンクリエーションのシニア女性のための美容室「えがお美容室」だ。代表取締役の太田明良さんとヘアスタイリストの長谷川ひろこさんを取材した。
「すてきなグレイヘアになれる」がコンセプトの美容室で、「増えてくる白髪をいつまで染め続けるべきなのか」「根本と毛先で白髪が混じることが気になる」といった悩みを持つシニア女性が多く訪れる。えがお美容室は一人一人の白髪の生え方、ヘアスタイルに合わせて、今までの白髪を隠すヘアカラーから、白髪を生かしたヘアカラーを楽しめる技術を提供している。美しいグレイヘアになるための独自テクニックを持っており、ほんのり色づくパステルカラーを入れることでグレイヘアに華やかさを持たせられるなど、今までの美容室ではかなえられなかったシニア女性の願いに応えている。
えがお美容室の顧客年代層は40代以下が1割、50代3割、60代4割、70代以上が2割で、60歳以上の女性が6割を占める。1回の来店で一人あたり約1万円のサービスを利用する。開業から1年、広告は出さず顧客同士のクチコミや30~40代女性が自分の母親を紹介することで人気になっている。
「すてきなグレイヘアになれる」がコンセプトの美容室で、「増えてくる白髪をいつまで染め続けるべきなのか」「根本と毛先で白髪が混じることが気になる」といった悩みを持つシニア女性が多く訪れる。えがお美容室は一人一人の白髪の生え方、ヘアスタイルに合わせて、今までの白髪を隠すヘアカラーから、白髪を生かしたヘアカラーを楽しめる技術を提供している。美しいグレイヘアになるための独自テクニックを持っており、ほんのり色づくパステルカラーを入れることでグレイヘアに華やかさを持たせられるなど、今までの美容室ではかなえられなかったシニア女性の願いに応えている。
えがお美容室の顧客年代層は40代以下が1割、50代3割、60代4割、70代以上が2割で、60歳以上の女性が6割を占める。1回の来店で一人あたり約1万円のサービスを利用する。開業から1年、広告は出さず顧客同士のクチコミや30~40代女性が自分の母親を紹介することで人気になっている。
周りの視線を気にせずに 気軽に相談できる店舗作り
シニア女性は白髪以外の悩みも繊細なもので、「頭頂部にボリュームがほしい」「分け目が気になる」などを相談したいが、シニア世代の女性が通常の美容室に行くと「スタッフやお客さんは私よりずっと若い人たちしかいないし、ここに来てよかったのかしら」と不安になりやすいという。そうすると周りの目を気にして本当の悩みを言えなかったり、あるいは言っても悩みを分かってもらえなかったりした経験から美容室に行くことがおっくうになってしまう。そんなシニア女性のためにえがお美容室は店舗の内装、スタッフの気遣いが行き届いている。
えがお美容室では1人の顧客に対し1人のスタイリストがすべての技術に責任をもって最初から最後まで担当する。これはカットする人とシャンプーする人などでスタッフが入れ替わりする際に技術にムラが出ることや落ち着かない気持ちになるという声から取り入れた。また、周りの視線を気にしなくていいように施術スペースは「半個室の静かな落ち着いたプライベート空間」となっている。カット・シャンプーなど施術中の姿を人目にさらされる心配がなく、またスタイリストに悩みを打ち明けやすい空間だ(写真4)。スタイリストは、スタイリング前に時間をかけてカウンセリングを行い、髪の悩みや毎日のスタイリング方法、ライフスタイルまで聞き、シニア女性が本当に解決したいことを見つける。
通常の美容室ではスタイリストが1日何人の顧客を担当できるかで評価されることが多いが、えがお美容室では1日の担当人数の上限が定められており、上限以上の予約は取らないことで一人一人の顧客と向き合う時間を持つようにしている。
また、えがお美容室では待ち時間などに雑誌を手渡されることはない。スタイリストが自宅でのヘアセット方法や自分に合ったメイク術などをアドバイスしてくれる。美容室ではきれいに仕上がっても自宅でうまくセットできない、という声から生まれたサービスだ。口頭で伝えるだけでなくドライヤーをどう持ってどこから風を当てると良いのかなどスタイリストと一緒に実践練習まで行える。さらに、ヘアスタイルだけでなく、普段のメイクの悩みも聞き、その場でメイク直しまで施してくれる。
「来店後に感謝の気持ちを込めてお手紙を書くのですが、本当に多くの方が手書きでお返事をくださいます。達筆で読めないこともあるんです」と長谷川さんは笑う。えがお美容室でのサービスがシニア女性にとってうれしいものだからこそ届く反響だ(写真5)。
えがお美容室では1人の顧客に対し1人のスタイリストがすべての技術に責任をもって最初から最後まで担当する。これはカットする人とシャンプーする人などでスタッフが入れ替わりする際に技術にムラが出ることや落ち着かない気持ちになるという声から取り入れた。また、周りの視線を気にしなくていいように施術スペースは「半個室の静かな落ち着いたプライベート空間」となっている。カット・シャンプーなど施術中の姿を人目にさらされる心配がなく、またスタイリストに悩みを打ち明けやすい空間だ(写真4)。スタイリストは、スタイリング前に時間をかけてカウンセリングを行い、髪の悩みや毎日のスタイリング方法、ライフスタイルまで聞き、シニア女性が本当に解決したいことを見つける。
通常の美容室ではスタイリストが1日何人の顧客を担当できるかで評価されることが多いが、えがお美容室では1日の担当人数の上限が定められており、上限以上の予約は取らないことで一人一人の顧客と向き合う時間を持つようにしている。
また、えがお美容室では待ち時間などに雑誌を手渡されることはない。スタイリストが自宅でのヘアセット方法や自分に合ったメイク術などをアドバイスしてくれる。美容室ではきれいに仕上がっても自宅でうまくセットできない、という声から生まれたサービスだ。口頭で伝えるだけでなくドライヤーをどう持ってどこから風を当てると良いのかなどスタイリストと一緒に実践練習まで行える。さらに、ヘアスタイルだけでなく、普段のメイクの悩みも聞き、その場でメイク直しまで施してくれる。
「来店後に感謝の気持ちを込めてお手紙を書くのですが、本当に多くの方が手書きでお返事をくださいます。達筆で読めないこともあるんです」と長谷川さんは笑う。えがお美容室でのサービスがシニア女性にとってうれしいものだからこそ届く反響だ(写真5)。
シニア女性が求めるのは日常の 延長線上の美しさ
「今までの美容室ではかなえられなかった美容室をつくりたいと思い開店しました。シニア女性は『日常の延長線上の美しさ』を期待しています。美容室から出てきた瞬間だけ美しいのではダメ。そこで、ヘアスタイルだけでなく普段のメイク直しも施しながらアドバイスまですることで、日常生活でお客さま一人でもトータルビューティーを楽しめるサービスを追求しています」と太田さん。
2019年4月19日には美容室にネイルサロンやセレクトショップを兼ね備えた一体型の新しい施設をオープンさせる。女性はいくつ年を重ねてもトレンドを追いかけたいという気持ちが強く、若い女性が行うネイルやファッションに興味がる。そこでシニア女性ならではの美のトレンドを発信できる場所を目指す。
美容室とネイルサロン、セレクトショップが一体化することで頭の先から足のつま先までのトータルコーディネートが可能になる。また、髪はあの美容院でネイルはこっちのサロンで……などと動き回ることなく体力的にも楽になり、「えがおに行けばトレンドを取り入れたわたしらしい美しさが手に入る」とさらに満足度が高まるだろう。えがお美容室のように、シニア女性の声を直接聞いてサービスや商品に反映する努力が世の中にまだまだ必要だ。
2019年4月19日には美容室にネイルサロンやセレクトショップを兼ね備えた一体型の新しい施設をオープンさせる。女性はいくつ年を重ねてもトレンドを追いかけたいという気持ちが強く、若い女性が行うネイルやファッションに興味がる。そこでシニア女性ならではの美のトレンドを発信できる場所を目指す。
美容室とネイルサロン、セレクトショップが一体化することで頭の先から足のつま先までのトータルコーディネートが可能になる。また、髪はあの美容院でネイルはこっちのサロンで……などと動き回ることなく体力的にも楽になり、「えがおに行けばトレンドを取り入れたわたしらしい美しさが手に入る」とさらに満足度が高まるだろう。えがお美容室のように、シニア女性の声を直接聞いてサービスや商品に反映する努力が世の中にまだまだ必要だ。
Key Point
①シニア女性が必要としているが他の美容室ではかなえられないことを徹底追求
②1日に担当する顧客の上限数を決め一人一人の顧客とコミュニケーションを取る
③シニア女性が日常生活で自分一人の力できれいになれる方法を学べる
④1か所で頭からつま先までのトータルコーディネート可能な場をつくる
①シニア女性が必要としているが他の美容室ではかなえられないことを徹底追求
②1日に担当する顧客の上限数を決め一人一人の顧客とコミュニケーションを取る
③シニア女性が日常生活で自分一人の力できれいになれる方法を学べる
④1か所で頭からつま先までのトータルコーディネート可能な場をつくる
新シニア女性をつかむ4つのポイント
①自社商品・サービスの強みを把握。価格よりも価値を重視
②「無理しない」「ラク」など、現実的な体の状態に合わせた設計がされている
③商品説明や接客などは時間をかけ、悩みや不安に寄り添い解決する
④派手すぎないイメージで自分にも取り入れられる提案がある
②「無理しない」「ラク」など、現実的な体の状態に合わせた設計がされている
③商品説明や接客などは時間をかけ、悩みや不安に寄り添い解決する
④派手すぎないイメージで自分にも取り入れられる提案がある
読売ISの調査では、女性は年齢が上がるほど「女性同士でいる方が楽しい」と感じ、食事や旅行、美術館や観劇などに積極的に友人同士で出かけている様子がわかる。調査結果は2015年のものであり、数値は現在さらに高まっていることが予想される。