流行と女性の心理を反映したギフト提案。トレンドの「なぜ?」を考える癖付け

女性マーケティング特集
2019 Vol.28
流行と女性の心理を反映したギフト提案。トレンドの「なぜ?」を考える癖付け
株式会社ローソン ローソンギフト マーチャンダイザー 吉村優香理さん
ローソンギフトの果物、スイーツ、酒を担当

日課のトレンド収集で「母の日=生花」の常識覆す

全国約1万4600店舗でカタログによるギフト販売を展開しているローソン。カタログは年3回(母の日・父の日、夏ギフト、冬ギフト)の発行で、主な購買層は30~40代。

ギフトカタログに掲載するスイーツ、果物、お酒などの商品の選定から仕入れ、カタログ制作まで担当しているのが同社の吉村優香理さんだ。ローソン入社当初はWEBサイト制作や広報に関わり、今では426.4万人(2019年7月現在)ものフォロワーを持つTwitterの立ち上げにも参加。そして2018年3月にギフト担当となった。「私はマーチャンダイザーでもないし、バイヤーの仕事もしたことはありませんでした」と笑うが、吉村さんが手掛けたカタログギフトの担当分野の伸び率は前年の110~120%と好調だという。

では、吉村さんはどのような視点で取り組み、成果を出しているのだろうか?
最初に手がけた「母の日・父の日」のカタログでこだわった商品の一つが、母の日向けにお茶とお菓子、フラワーボックスがセットになったギフト。このボックスの黄色の花柄をデザイナーと作った。「社内でアンケートを取ったところ、“お母さんだから赤”というのはちょっと…という意見があり、黄色にしました」。新鮮なイメージが受け、同商品は想定の1.5倍の売上になった。また、この箱の花柄はカタログの表紙にも採用。世界観の統一と新しい見せ方を狙った。
吉村さんが手がけたローソンのギフトカタログ。夏ギフト(左)は桃をお尻に見立てて添えた「大切なおしりあいに」というコピーが笑いを誘い、母の日(右)は従来のイメージを打ち破る黄色の花柄が目をひく
母の日のギフトセット。右奥のフラワーボックスの箱はカタログギフトの表紙と同じ花柄で統一した
吉村さんのこだわりは細部に渡り、カタログでは商品のパッケージも見せるように変えた。「最近はどのギフトもおいしいので、決め手がパッケージになることもあります」。インスタ映えする商品は人気だという。また、4種類の花と5種類のプチギフトを自由に組み合わせられるセットも用意した。花屋にプチギフトを仕入れてもらい、オーダーごとにセットして配送してもらった。「そこまでやる意味はあるのか」と周りには言われたが、注文する人がそれぞれのお母さんに合う商品を選べることを重視した。そのほかにも、イメージカラーで花を選べるページなど、新しいギフトの選択肢を提示する。
従来の母の日のフラワーアレンジは近いイメージでそろえていたが(上)、吉村さんは「お母さんのイメージカラーで選べるページ」を設けた(下) 
さらに「母の日といえばカーネーション・生花」という常識に反して、植物標本(ハーバリウム)やドライフラーにする前提のブーケなどのラインアップもある。「母の日に枯れた花はいかがなものかという意見もありましたが、ハーバリウムやドライフラワーはトレンドですし、長く楽しめて飾りやすく、手入れも楽。母の日の従来の作法としては禁じ手かもしれませんが、こちらのほうが生活にフィットしていると思いました」。トレンドにトライすることで新しいお客さまを開拓できる可能性が広がったと語る。

トレンドの背後にある女性の心理やシーンを考える

取り扱いに挑戦してみた商品は? と尋ねると、続く「夏ギフト」のカタログで甘酒を9品取り扱ったことだという。「飲む点滴」「飲む美容液」として甘酒がトレンドになっていると知ったことがヒントになった。しかしトレンドをそのまま取り込むのではなく、なぜ甘酒が人気かを考えた。そこで立てた仮説は3つ。①美容や健康のために飲んでいる、②ノンアルコールなのでお酒を飲んで寝るのとは違う眠りが得られる、③プロテインのようにボディーメークの補助に飲んでいる…など、さまざまな角度から検証して扱いを決めた。このように、トレンドの背後にある女性の心理、どういったシーンで望まれるかを常に考えるようにしているという。

また、掲載する商品が決まったら、カタログに落とし込む作業に入る。その際、どのようなページにするのか、商品写真をどのように撮影するか、指示書となるラフスケッチを自分で細かく描いて検討する。
ページの構成や商品の見せ方を細かく書いたもの。デザイナーやカメラマンへの指示書にもなる
ユニークなのは、「夏ギフト」カタログの表紙だ。桃をクローズアップして「大切なおしりあいに」というコピーを添えた。「社内では賛否両論あった」と苦笑いするが、Twitterでは好意的に受け止められており、おおむね成功。次も多くの人の話題になるようなものを構想している。

社内外のコミュニケーションをカタログの品質向上につなげる

また、吉村さんが大切にしているのが周りの人との関係構築。「持ち物や普段の言動などから丁寧に暮らしている人を見つけ、おすすめの商品を聞くようにしています」とのこと。トレンドのアンテナが高い人にリサーチして参考にしているのだという。

掲載する商品はこうした周囲の情報に加え、雑誌やテレビ、SNSなどでのリサーチ、アンテナショップや旅行先、商談会などに足を運び見つけている。選定の基準を尋ねると、「私は流行に左右されるタイプではありません」と吉村さん。特に果物は生産者と話し、こだわりをたくさん語れる商品を重視する。実物を見られないカタログでは、生産者の思いや商品のストーリーが客を引き付けるからだ。

取引先との関係も大切にし、カタログで取り扱うことで喜んでもらえるような関係構築を行っている。その日々の表れとして、吉村さんが手がけたカタログはクレームが前年より30%減少した。「母の日のお花が届いたら枯れていたとか葉っぱが折れていたというお声が届くのを覚悟していました。でもそういったことがなかったんです」。吉村さんの情熱に心を打たれた各メーカーが品質管理や配送に誠実に取り組んだ結果だった。

ローソンの売り上げ規模からするとカタログギフトの規模はそれほど大きくはない。しかしカタログギフトで季節を届けたいと、吉村さんは今日も全国を走り回る。
一問一答

Q.プライベートで仕事につながる視点は?
外出先でも他社のギフトカタログは必ずチェック。地方の地域密着型のスーパーのカタログに魅力的なものが多い

Q.仕事のために行っている勉強は?
カタログのお酒担当なので、1日1時間は飲みながらお酒について勉強。今後、ソムリエの資格をとりたい
Company Data
株式会社ローソン
東京都品川区大崎1-11-2
ゲートシティ大崎イーストタワー
03-5435-1750
https://www.lawson.co.jp/

ローソンギフト
http://lawson-gift.jp/

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