大人から子どもまで夢中のドール SNSを使い分け一斉ファン化(2019年10月号)
女性マーケティング特集
2019 Vol.29

INDEX
マーケティング分野では、LINE、Facebook、Twitter、Instagram、TikTokを5大SNSと言う。
そして、その中でも特に20~30代の女性の利用率が高いInstagramは、女性マーケティングの戦略を考えるうえで外せない。
これまでの写真をメインにしたコミュニケーションSNSから、「ストーリーズ」機能の登場によって、動画を活用したコミュニケーションの活発化もますます期待できるものとなっている。
今回は、SNSを活用し共感されるマーケティング手法について、ファッション、コスメ、玩具、ジュエリーから事例を紹介する。
取材・文/張鮮華、倉本麻衣
そして、その中でも特に20~30代の女性の利用率が高いInstagramは、女性マーケティングの戦略を考えるうえで外せない。
これまでの写真をメインにしたコミュニケーションSNSから、「ストーリーズ」機能の登場によって、動画を活用したコミュニケーションの活発化もますます期待できるものとなっている。
今回は、SNSを活用し共感されるマーケティング手法について、ファッション、コスメ、玩具、ジュエリーから事例を紹介する。
取材・文/張鮮華、倉本麻衣
SNS女子が共感する3つのポイント
①目的や用途に応じて、SNSを使い分ける
②企業からのインセンティブで、SNSが更に活発化する
③「静止画」から「動画」への共感が広がる
①目的や用途に応じて、SNSを使い分ける
②企業からのインセンティブで、SNSが更に活発化する
③「静止画」から「動画」への共感が広がる
Instagramのメインユーザー層となる20~30代女性が利用に際してどのような動機を持っているのかについての調査。
ユーザーが好む投稿として、「リアルな生活感」が約半数に迫る他、「役に立つ情報」「最新トレンド」などが好みの上位を占める。
また、自分で投稿したくなるのは、「おしゃれ」「流行っている」「構図や写真加工」というようなインスタ映え、トレンド感のある投稿が好まれる。
「魅せる投稿」と「広めるための投稿」を使い分ける必要があることが分かる。
サムライト株式会社調べ(2019年)
調査方法:LINEリサーチを利用したスマートフォン調査
調査期間:2019年6月22日~23日
調査対象・人数:全国の20~39歳女性のうち、
「Instagramを利用している」と回答した296名
ユーザーが好む投稿として、「リアルな生活感」が約半数に迫る他、「役に立つ情報」「最新トレンド」などが好みの上位を占める。
また、自分で投稿したくなるのは、「おしゃれ」「流行っている」「構図や写真加工」というようなインスタ映え、トレンド感のある投稿が好まれる。
「魅せる投稿」と「広めるための投稿」を使い分ける必要があることが分かる。
サムライト株式会社調べ(2019年)
調査方法:LINEリサーチを利用したスマートフォン調査
調査期間:2019年6月22日~23日
調査対象・人数:全国の20~39歳女性のうち、
「Instagramを利用している」と回答した296名
大人から子どもまで夢中のドール SNSを使い分け一斉ファン化
―「L.O.L. サプライズ!」 株式会社タカラトミー
定着しにくい海外の玩具を日本のヒット商品に育てる
2018年7月の日本発売から1年間でシリーズ累計出荷数330万体以上を突破した「L.O.L. サプライズ!」(2019年7月31日時点)。カプセルに、手の平サイズの人形、服、アクセサリーなどが入っており、開封するごとに中身が明らかになっていく点が大きな特徴だ。
2016年にアメリカで発売され、90以上の国や地域で人気を博している同商品は、開封の楽しみに加え、商品自体のかわいらしさ+コレクション性の高さという、これまでの日本市場にはなかった新しい魅力を備えている。
対象年齢6歳以上と定めている商品の主な購入層は、7~9歳の女の子たちだ。ところが、売り上げの10%ほどは中高生以上の大人が占めるという。
現在まで200種類ほどのデザインを出荷しているが、単価が1000円~15000円(シリーズにより値段が異なる)と決して安価でないにもかかわらず、1人の消費者がいくつもの種類を購入する傾向にある。
「子どもに対しては開封の楽しさ、着せ替え、水を使ったギミック部分が受けています。逆に大人は、フィギュアとして集めたり、飾ったりするようなビジュアル部分に魅力を感じているようです」と語るのは、株式会社タカラトミーでガールズマーケティングを担当する武田誠さんだ。
商品の日本導入にあたっては、事前に何組もの親子の意見に耳を傾け、「L.O.L. サプライズ!」の持つボリューム感たっぷりの遊びをどのように伝えるのか試行錯誤した。その結果、現在では小学生から大人まで幅広い層を引きつける商品に成長。
販路先は通常、約2000店舗の玩具専門店や取扱い売り場で販売するが、「L.O.L. サプライズ!」は新たに雑貨、アパレル、アクセサリー店などを含めた約4000店舗での販売が実現し、ファン層の厚みに合わせてその販路を広げている。
今年、「日本おもちゃ大賞2019 前年度ヒット・セールス賞」も受賞した。
2016年にアメリカで発売され、90以上の国や地域で人気を博している同商品は、開封の楽しみに加え、商品自体のかわいらしさ+コレクション性の高さという、これまでの日本市場にはなかった新しい魅力を備えている。
対象年齢6歳以上と定めている商品の主な購入層は、7~9歳の女の子たちだ。ところが、売り上げの10%ほどは中高生以上の大人が占めるという。
現在まで200種類ほどのデザインを出荷しているが、単価が1000円~15000円(シリーズにより値段が異なる)と決して安価でないにもかかわらず、1人の消費者がいくつもの種類を購入する傾向にある。
「子どもに対しては開封の楽しさ、着せ替え、水を使ったギミック部分が受けています。逆に大人は、フィギュアとして集めたり、飾ったりするようなビジュアル部分に魅力を感じているようです」と語るのは、株式会社タカラトミーでガールズマーケティングを担当する武田誠さんだ。
商品の日本導入にあたっては、事前に何組もの親子の意見に耳を傾け、「L.O.L. サプライズ!」の持つボリューム感たっぷりの遊びをどのように伝えるのか試行錯誤した。その結果、現在では小学生から大人まで幅広い層を引きつける商品に成長。
販路先は通常、約2000店舗の玩具専門店や取扱い売り場で販売するが、「L.O.L. サプライズ!」は新たに雑貨、アパレル、アクセサリー店などを含めた約4000店舗での販売が実現し、ファン層の厚みに合わせてその販路を広げている。
今年、「日本おもちゃ大賞2019 前年度ヒット・セールス賞」も受賞した。
(写真2)L.O.L. サプライズ! 公式インスタグラムより(@lolsurprise_japan_official)。 大人をターゲットにビジュアルに意識をおいてトレンドのスイーツや景観とともに撮影されている
ターゲットに合わせてSNSを使い分ける
いまやすべての年齢層をターゲットに掲げ、成功を収めつつある同商品だが、その背景を支えるのは巧みなSNS戦略である。同商品の販促にはYouTube、TikTok、Twitter、Instagramの四大メディアを積極的に駆使してきた。
まずは主な購入層となる親子向けとして、従来のテレビCMで商品のインパクトを与え、より詳細な商品情報を伝える動画をYouTubeに多数用意した。
特にInstagram日本最多フォロワー数を誇るタレントの渡辺直美さんと、TikTokでの日本最多フォロワーを抱えるHinataさん(フォロワー数は2019年6月20日時点)がワクワクしながら商品を開封する動画は、短期間で100万回再生を記録した。
また、中高生向けのプロモーションとして、10代の間で大流行中のショートムービー投稿サービスTikTokを活用した。テレビCMを新しく放映するタイミングで、「TikTok #LOLサプライズダンス チャレンジ」というキャンペーンを同時にスタート。
このキャンペーンでは、オリジナルフレームや、商品の特徴である「メイクオーバー」(ヘアメイクやコスチュームにより大変身を遂げること)に合わせた変身メイクのスタンプなども用意し、気軽に楽しく動画投稿ができる仕組みを作った。
テレビCMのダンスを若いユーザーたちがまねしてくれた結果、動画再生数は4200万回を超え、商品の認知向上に大きな役割を果たした。
自分で動画を撮り投稿するユーザー参加型のTikTokは、横同士のつながりが大いに影響し、普段なら商品を買わないような消費者も引っ張ってこられるのが強みだ。
一方、Instagramでは、商品購入のカギを握る母親や大人にターゲットを絞った。「ビジュアルを重視する大人向けに、かわいい絵柄を見せるようにしました。ドールと一緒に外出先で記念撮影するなど、こちらからも積極的な提案を仕掛けるようにしました」と武田さん。日本公式アカウントのフォロワー数は、現在1万人を超えている。
こうした動画や写真投稿をさらに広める目的で、強力な拡散力を持つTwitterでの発信も取り入れた。新シリーズが発売されるタイミングに合わせ、発売前からSNSを駆使した販促をかけるよう計画している。
まずは主な購入層となる親子向けとして、従来のテレビCMで商品のインパクトを与え、より詳細な商品情報を伝える動画をYouTubeに多数用意した。
特にInstagram日本最多フォロワー数を誇るタレントの渡辺直美さんと、TikTokでの日本最多フォロワーを抱えるHinataさん(フォロワー数は2019年6月20日時点)がワクワクしながら商品を開封する動画は、短期間で100万回再生を記録した。
また、中高生向けのプロモーションとして、10代の間で大流行中のショートムービー投稿サービスTikTokを活用した。テレビCMを新しく放映するタイミングで、「TikTok #LOLサプライズダンス チャレンジ」というキャンペーンを同時にスタート。
このキャンペーンでは、オリジナルフレームや、商品の特徴である「メイクオーバー」(ヘアメイクやコスチュームにより大変身を遂げること)に合わせた変身メイクのスタンプなども用意し、気軽に楽しく動画投稿ができる仕組みを作った。
テレビCMのダンスを若いユーザーたちがまねしてくれた結果、動画再生数は4200万回を超え、商品の認知向上に大きな役割を果たした。
自分で動画を撮り投稿するユーザー参加型のTikTokは、横同士のつながりが大いに影響し、普段なら商品を買わないような消費者も引っ張ってこられるのが強みだ。
一方、Instagramでは、商品購入のカギを握る母親や大人にターゲットを絞った。「ビジュアルを重視する大人向けに、かわいい絵柄を見せるようにしました。ドールと一緒に外出先で記念撮影するなど、こちらからも積極的な提案を仕掛けるようにしました」と武田さん。日本公式アカウントのフォロワー数は、現在1万人を超えている。
こうした動画や写真投稿をさらに広める目的で、強力な拡散力を持つTwitterでの発信も取り入れた。新シリーズが発売されるタイミングに合わせ、発売前からSNSを駆使した販促をかけるよう計画している。
自社商品の本当のファンであるインフルエンサーを見つけ出す
いくつものSNSを活用する上で、同社が大切にしていることがもう一つある。
SNSを使い分け、不特定多数に多大な影響を与えていくだけでなく「L.O.L. サプライズ!」を本当に気に入って楽しく遊んでくれるインフルエンサーを増やしていくことだ。「L.O.L. サプライズ!」のファンであるインフルエンサーたちが趣味嗜好の共通する親密な仲間を巻き込んでいく力の大きさに期待している。
SNSを中心に今後もますます盛り上がりを見せる同商品を前に、武田さんの目は次なる目標に向いている。「著名なインフルエンサーは、複数のSNSで積極的に活躍している。彼らの投稿を見ていると、その影響があちこちに広がっていく様子がよく分かります。今後はその流れが一つにまとまっていく仕組みを作ることで、さらなる販促につなげることができないか模索中です」
目下の目標は、同社のロングセラー人形「リカちゃん」のようにSNSで多くのファンに楽しんでもらえるようになることだ。「L.O.L. サプライズ!」の今後の奮闘が注目される。
SNSを使い分け、不特定多数に多大な影響を与えていくだけでなく「L.O.L. サプライズ!」を本当に気に入って楽しく遊んでくれるインフルエンサーを増やしていくことだ。「L.O.L. サプライズ!」のファンであるインフルエンサーたちが趣味嗜好の共通する親密な仲間を巻き込んでいく力の大きさに期待している。
SNSを中心に今後もますます盛り上がりを見せる同商品を前に、武田さんの目は次なる目標に向いている。「著名なインフルエンサーは、複数のSNSで積極的に活躍している。彼らの投稿を見ていると、その影響があちこちに広がっていく様子がよく分かります。今後はその流れが一つにまとまっていく仕組みを作ることで、さらなる販促につなげることができないか模索中です」
目下の目標は、同社のロングセラー人形「リカちゃん」のようにSNSで多くのファンに楽しんでもらえるようになることだ。「L.O.L. サプライズ!」の今後の奮闘が注目される。
Key Point
1 各SNSの強みを把握する
2 ターゲットに合わせてSNSを使い分ける
3 自社商品のファンであるインフルエンサーを見つけ出す
4 発売のタイミングに合わせ計画的な戦略を作る
1 各SNSの強みを把握する
2 ターゲットに合わせてSNSを使い分ける
3 自社商品のファンであるインフルエンサーを見つけ出す
4 発売のタイミングに合わせ計画的な戦略を作る