【特集】地域と共にブランドと文化を育てる(2017年8月号)
女性マーケティング特集
2017 Vol.3

地域と創る、お客様と創る「価値共創」のカタチ
「共創」とは、商品を第三者と共に創ること。さまざまな共創のカタチを紹介しながら、今から取り組む場合の着眼と今後の可能性を探る。 (文/日野佳恵子 企画/加藤沙貴子)
「共創」とは、商品を第三者と共に創ること。さまざまな共創のカタチを紹介しながら、今から取り組む場合の着眼と今後の可能性を探る。 (文/日野佳恵子 企画/加藤沙貴子)
地域連携:神戸タータン協議会
地域と共にブランドと文化を育てる
「神戸タータン」という「柄(タータンチェック)」を使った商品が、神戸の街にどんどん増えている。神戸タータン協議会は発足して1年未満にも関わらず、「どうしたら使えるか」という問い合わせが続く。関連商品も次々と生まれ、初の期間限定コーナーを用意した神戸LOFTは大盛況。5月中旬までだった開催期間を8月末までに延長した。
これは今年、神戸開港150年(1868年慶応3年開港)を記念して始まった、「神戸らしさ」を視覚的に発信しようという活動によるもの。中心となったのは地元商店主たちだ。
地域活性といえば、ゆるキャラやご当地名物の料理や菓子を開発する動きはよく聞くが、「柄」での連携は新鮮だ。女性たちがあこがれる異国文化漂う「神戸らしい」企画だと直感し、キックオフイベントに取材に出かけた。
これは今年、神戸開港150年(1868年慶応3年開港)を記念して始まった、「神戸らしさ」を視覚的に発信しようという活動によるもの。中心となったのは地元商店主たちだ。
地域活性といえば、ゆるキャラやご当地名物の料理や菓子を開発する動きはよく聞くが、「柄」での連携は新鮮だ。女性たちがあこがれる異国文化漂う「神戸らしい」企画だと直感し、キックオフイベントに取材に出かけた。
神戸をイメージするデザインの誕生。民間主導でアイテム多数
「神戸タータン」は、ブルー(海)×白(白亜の建物・真珠)×赤(ポートタワー・神戸大橋)×緑(六甲山)という神戸の象徴的な色を表現したオリジナルのタータンチェック。日本において商標登録し、スコットランド政府機関の登記所にも正式に登録した。
「共創」としての注目は「神戸タータン」の活動の広がりの早さで、4つのポイントが上げられる。1つはやはり「柄」に着目し、そのデザインに神戸の洗練度をうまく表現できたこと。視認性が高く、老若男女が使えるため共通言語になった。2つ目は神戸タータンをプラットホームとしてあらゆる事業者が多様なアイテムを製作できること。タータンは協議会に加盟すれば誰でも使用できる。買う人も売る人もうれしい商品が幅広く生まれる。3つ目は地域愛の強い神戸の人たちに「神戸タータン」という企画そのものがフィットしたこと。地域になじんでこその支持だ。そして4つ目は民間主導で進め、産官学が連携したこと。支援が盛んになり、交流やマッチングの機会も増え、新たなイノベーションが生まれやすくなっている。
写真は、神戸松蔭女子学院大学の学生たちが考えたデザインの服。日本女子フットサルチームarco-irisKOBEも学生のデザインでユニフォームを新調した(表紙左上)。会長の石田原弘氏は「おみやげではなく、新しい神戸のイメージを想起させ、神戸全域でダイナミックに活動を可能にしていきたい」という。
「共創」の成功には、モノ創りの前に、文化やブランドなど価値観を地域(参加者)で共有することが広がりにつながっていくと気づかされる。
「共創」の成功には、モノ創りの前に、文化やブランドなど価値観を地域(参加者)で共有することが広がりにつながっていくと気づかされる。
Review
「共創」という視点は、女性視点マーケティング®における根幹的な取り組みである。というのも女性には『産み育てる特性』が本能的にある。『産んで育てる』をマーケティングに置き換えると、「新しいモノやコトを産み出すことに関わりたい」そして「売れるまで育てたい」という気持ちにつながる着眼だからだ。
今回取材した先は、そんな女ゴコロをしっかりととらえているさまざまな事例だった。「共創」は女性客の「私がお世話した母性意識」も重なって拡大する。
今回取材した先は、そんな女ゴコロをしっかりととらえているさまざまな事例だった。「共創」は女性客の「私がお世話した母性意識」も重なって拡大する。
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