【特集】シニア女性の今。消費行動の最前線 「何歳になっても華やかな私」(2017年9月号)

女性マーケティング特集
2017 Vol.4
【特集】シニア女性の今。消費行動の最前線 「何歳になっても華やかな私」(2017年9月号)
ニュートンがおりも政夫さんとのコラボレーションで開催した「うたごえ時代」(パセラリゾーツ グランデ渋谷店)。

CASE.1 株式会社ニュートン

平日昼に大熱唱。青春時代のように盛り上がりたい!

1970年代に一世風靡し現在も活躍するフォーリーブス・おりも政夫さん。
レストランやホテル事業などさまざまな事業を展開する株式会社ニュートンは、2017年春よりシニア層に向けたイベントを開始した。同社のカラオケ施設「パセラリゾーツ」と、フォーリーブス・おりも政夫さんの歌謡イベント「うたごえ時代」のコラボレーションだ。
 2回目となる6月下旬のイベントは水曜日の日中、パセラリゾーツグランデ渋谷店で開催。午前の部と午後の部があり、参加費は午前4500円、午後7000円 (ビュッフェ・飲み放題付きのディナーショー形式)。パセラリゾーツの会員だと約1000円の割引がつく。参加者は9割が女性で、60~70代が中心だ。1970年代を中心にさまざまな歌手の懐かしい曲が流れるため、参加者は一緒に歌って踊り、青春時代に戻ったように楽しめる。各自ペンライトや手作りうちわを持参し、終盤には立ち上がり歌詞に合わせて「L」「O」「V」「E」とポーズをとるなど体を動かし歓声をあげ、イベントは大盛況に終わった。
 参加者の女性はきれいにドレスアップした人が多く、杖をついて訪れた女性も若者顔負けのエネルギーでペンライトを振っていた。シニア女性がおしゃれをし、大きな声を出しながら体を動かす、エネルギーを感じられる場だった。
おりもさんが参加者と直接触れ合う場面も。

平日昼間のホールを提供。こだわりのフードで女性の心をつかむ

 ニュートンがこうしたイベントを開始した背景には「55歳以上のお客様に青春時代へタイムスリップして楽しんでもらいたい」という思いがある。これまで同社は20~30代に向けたエンターテインメント事業が多かったが、高齢化社会に合わせ、シニア層が趣味を満喫できる場の提供拡大に乗り出した。イベントの午前の部は11時、午後の部は15時半開始と早めのスタートで、店舗が比較的空きがちな時間帯を活用している。そんな日中の開催にもかかわらず、参加者は一様にお酒も進む。パセラリゾーツは元からフードのクオリティの高さで女性の人気が高い施設だ。イベントで提供するフードも、味はもちろん盛り付けも華やかにし、歌だけでな く食事も楽しんでもらえるように配慮した。その強みとこだわりはシニア女性にしっかり刺さっていた。
 ニュートンは今後もシニア向けのイベン トや事業を展開していく予定。「規模がコ ンパクトでも参加した全員が満足するイベ ントを目指したい」と広報の杉崎さんは語る。アクティブなシニア達は集まる場所、友人と出かけられるイベントを期待している。こうした、シニアが集まって楽しめる企画のニーズは高まると感じた。

CASE.2 株式会社オプシス

変身写真で「きれいな私」になりたい&見てほしい!

After

Before

①“奇跡の1枚”を撮れる写真館オプシスで撮影した90歳女性のビフォーアフター。

After

Before

② 77歳女性のビフォーアフター。「白でエレガントに変身したい」という希望を叶えた。
東京日比谷にあるメイク&フォトスタジオ・オプシスは「“奇跡の1枚”を撮れる」とシニア女性が殺到する写真館だ。1日の定員は18~20名だが、日々満員で1か月先まで予約で埋まっている。取材に訪れた火曜日の午後もフル稼働で、お客様の中には「このために静岡から来ました」という50代の女性も。「ナチュラルなイメージで撮影するつもりだったけど、相談しているうちに華やかになっちゃった。でもこれも満足。また来ます!」とにこやかに感想を語っていた。

③ 取材日の平日も女性客で賑わい、変身ぶりを楽しむ女性の笑い声が絶えなかった。
 「奇跡の1枚」は、メイクと髪のセットを施し、オーガンジー(薄い布)をドレスのように体に巻きつけ、まるで女優のように撮影するというもの。写真のビフォーアフターを見れば変身ぶりは一目瞭然だ。写真①で紫の衣装を着ているのは90歳の女性。写真②の白い衣装の女性は77歳で、喜寿のお祝いに娘のプレゼントで愛媛から来店した。「みるみる変身してい く自分がうれしくてたまらない」。シニアのお客様ほど変身した自身の姿を見て「生きててよかった」「明日からまたがんばるわ」と感想をこぼすという。
④ ②の女性のメイクシーン。見守る娘さんも「母に喜んでもらえて幸せでした」と語る。
 代表の黒崎正子さんは「プロのメイク&カメラマンが一般の女性をがらりと変身させて撮影する」というアメリカのビジネスモデルに魅力を感じ、「女性の変身願望は万国共通に違いない!」と1997年に日比谷本店をオープン。男性には「こんなの撮って何が面白いの?」と理解されなかったが、女性たちは「面白い!」と興味を持った。現在は東京2店舗と大阪1店舗に加え、2015年に和装専門の店舗を浅草にオープン。「メイク・髪のセット・ 撮影をすべてプロが1か所で行う写真館は日本初だったのでは」と黒崎さんは振り返る。
⑦ 代表の黒崎正子さん。「もともとニッチなビジネスが好きで、楽しいと思う」と語る。

6~7割がクチコミで来店。 人に話したくなる写真館

 当初の客層は20代後半~30代が中心だったが、2010年ごろの終活ブームをきっかけにシニア層が増加。現在は半数以上が60歳を超えたお客様だ。2016年は全店舗で1万5000人が撮影に訪れ、年商は2億5000万に上った。特徴的なのは、全体の6~7割がクチコミで興味を持ち来店している点。オプシスでは撮影から正式なプリントの仕上がりまで約2週間かかるが、名刺サイズに簡易プリントして退店時にプレゼントしている(写真⑤)。これがショップカード代わりとなり、お客様が撮影後すぐに友人に「こんなの体験してきたの!」と話せるクチコミツールの役割を果たす。女性の「きれいになった私を見てほしい」「共有したい」という心理をくすぐるツールだ。
 「女性にいつまでもきれいで元気でいてほしい」という黒崎さん。還暦や古希など区切りとなる年齢のほか、入退院などの節目に来店するお客様も多い。たとえば乳がんの退院後に撮影に訪れた女性は、病院の4人部屋で自分以外の3人が「抗がん剤治療で髪の毛が抜ける前にオプシスで撮ってもらった」と話しているのを聞き、「自分も撮ってもらおう!」と退院後の楽しみにしていたという。また、別の女性は友人の葬儀で遺影が別人に見え「間違えた」と思い、一度退場。しかし会場の名前はやはり友人。どこで撮影したのか尋ね、オプシスを訪れたという。変身写真を毎年撮るお客様は「これまでに撮った写真を自分の葬儀で並べてもらうのが楽しみ」と語る。
 WEBアンケートでは7割が「オプシスには一人で行きたい(夫は連れていきたくない)」と回答している。店頭でも「今度はご主人と撮りに来てくださいね」と伝えても、「こんな楽しいところにどうして夫を連れてこなきゃいけないの」と返す女性も。取材日、二人組のお客様は終始お互いの変身の過程を「すごーい!」と興奮気味にスマートフォンで撮影していた。オプシスは、女性たちが「自分の変身を楽しむため」の場所になっているのだ。
⑤ 撮影データを簡易プリントしたカード。データの保存期間もわかる。

スタッフはエンターテイナー、 お客様はプリンセス

⑥ 店内で見られるイメージカタログの一部。一般女性やスタッフとは思えない変身ぶりだ。
 オプシスが心がける3つのポイントから、女性客を引きつける戦略が見えてくる。一つ目は、消費者目線でいること。黒崎さん自身はメイクや撮影のプロではないが、女性消費者の気持ちはわかる。オプシスでは毎年秋に60歳・70歳・ 77歳・80歳・88歳だと料金が半額になる「シニアビューティフォトキャンペーン」を実施しており、2000名の利用がある。こうしたキャンペーンは、黒崎さんの友人が50歳を機に続々と撮影の予約をしてきたことで「女性は節目の年齢に撮りたいんだ」とニーズに気がついたという。 自分は女性ではないから気づくのが難しい…という男性読者は、配偶者や女性社員に「最近周りで流行していること」や「みんながやってみたいと言っていること」「不満に思っていること」などを聞いてみてほしい。思わぬニーズが見えてくる可能性がある。
 二つ目は、スタッフ全員が「単なる職人ではなくエンターテイナーとして、お客様をファンタジーの世界に連れていく」という意識を持つこと。黒崎さんが理想のモデルとしているのは、ディズニーランドや劇団四季だという。目的は「奇跡の1枚を撮ること」だが、その過程をスタッフと楽しんだり、撮影後も変身写真を友人にほめてもらったりというサービスや体験が女性には付加価値になる。取材中、黒崎さんをはじめスタッフはお客様によく話
しかけ、お客様はリラックスして明るい表情だった。
 三つ目は、広告やイメージコレクションにプロのモデルを使わないこと。写真⑥は店内で見られるカタログで、モデルはすべてお客様かスタッフだ。お客様やスタッフを起用することで、親近感や「こんなに変われるんだ!」という驚きを覚えてもらえる。起用されたお客様はまた変身できる機会を作ってもらえること、モデル気分を味わえることがうれしい。
 ヘア&メイクと衣装込みの撮影料はプリ ント3~4枚付きで約2万円と、他の写真館に比べるとかなりリーズナブル。利益よりも万人が気軽に体験できることを優先しているためだ。今後は女性の美しい遺影としての利用や、女性社員が多い企業とタイアップして福利厚生に活用するなど、より多くの女性に変身写真を体験し楽しんでもらえることを目指している。
 オプシスを訪れるお客様のエピソードを聞きながら、「女優のように変身してみたい」「何歳になってもお姫さまのように接してほしい」という女心の強さを再認識した。こうした女心に刺さる企画は女性たちがファンになり、クチコミを起こし、支持されていくとあらためて感じた。
⑧ 店内は従来の写真館のイメージを覆す、美容室やエステサロンのような華やかさがある。
Review
7月下旬、平均寿命が女性87.14歳、男性80.98歳でいずれも過去最高を更新したと報じられた。ある方が「60歳を過ぎてからは盛春」と言っていた。そこから平均寿命まで20年、健康体ならもうひと花咲かせられる。今回の取材ではそれを実感した。特に女性は女同士で出かけ、自分磨きに投資をしている。高級品を買うというより「輝き直し」に消費している。彼女たちのニーズに応えることが国内でのビジネスの成否を分けると感じた。
COMPANY DATA
株式会社ニュートン
東京都新宿区歌舞伎町2-4-10 KDX東新宿ビル7F
PHONE:03-5155-1650
SITE:https://www.newton-co.jp/
株式会社オプシス
東京都千代田区有楽町1-2-2 日比谷シャンテB1
PHONE:03-3503-1117
SITE:https://opsis.co.jp/

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