【特集】進化形女子会─集客5つの要素(2017年10月号)

女性マーケティング特集
2017 Vol.5
【特集】進化形女子会─集客5つの要素(2017年10月号)
「オトナ女子の夜ふかし水族館」トークイベントの様子。
秋から冬にかけてイベントが増える。女性の集客に成功しているイベントを見ると、キーワードは「進化型の女子会」だ。その中でも、美と非日常体験。家やカフェといった身近な場から離れ、女性同士で非日常な世界の空間に集い、美しくなる体験をするものが人気がある。女子会に参加したメンバーが同時にSNSへ投稿すれば、つながっている友人たちには刺激的な写真が集中砲火され、「私も行きたい!」と即座に予約を入れていく。

今回取材した2施設のイベントはまさに進化型の女子会。女同士で美しい演出、美しくなる食、美しくなる体験を楽しみ盛り上がる。女子会はいっそう盛り上がりと華やかさを備えた女子“饗宴(きょうえん)”へと成長していた。イベントが続くこれからの季節、集客の勝算は女子会にあり、といえる。

女子会集客の5要素

1. 美と健康イメージタイトル
2. 非日常のテーマや世界観(夜、朝、海、宇宙など)
3. 友達と一緒の体験共有(服装、写真、お土産など)
4. 女性が好む広告デザイン
5. 季節感のある企画を連打
「女子会を実施したことがある」すべての年代で8割超え!
「女子会は何歳になっても続けていきたい」も7割前後。中でも50代、60代の女子会ニーズはさらに高くなる。子どもの手が離れ、気の合う友人だけとのつき合いが可能になると、女子会はますます楽しいのだろう。女子会に年代は関係ないようだ。
【出典】読売IS WisE「行動ウォッチ調査2015」
調査期間/2015年3月27日~4月2日
調査対象者/一都三県に居住する20~69歳女性
有効回答数/一次調査10,369サンプル・二次調査3,005サンプル

CASE.1 サンシャインシティ

水族館にお泊まり、展望台でヨガ。定員に対して20倍の応募殺到

東京・池袋の複合施設、サンシャインシティ。7月に水族館が一部リニューアルし、平日でさえ整理券入場となるほどの盛り上がりを見せている。水族館以外にもショッピング、レストラン、ホテル、展望台などさまざまな施設がそろうここでは2013年から「サンシャイン女子道」という女性客向けの取り組みが行われている。
1. 女子力を常に向上すべく努めるべし
2. 何事も笑顔で楽しむべし
3. 自分磨きを継続すべし
をテーマに、プラネタリウムで「星と香りのセミナー」や、展望台で「キレイになる日本酒講座」など、施設を活用しながら女性らしさに磨きをかける“女子力アップ”を目的とした企画から始まった。現在、特に女性客の注目度の高いイベントが2つある。イベントの仕掛けについて、サンシャインシティの運営と「サンシャイン女子道」の企画を行う株式会社サンシャインシティに取材した。
20倍の応募!水族館にお泊まりで非日常&おそろい体験
まずはサンシャイン水族館に1泊できるというイベントだ。イベント名は「オトナ女子の夜ふかし水族館」。名前のとおり、成人女性限定の企画だ。サンシャイン水族館は親子向けのお泊まりイベントを20年以上実施しているが、他のお客さまの「泊まりたい」という声から女性限定のイベントとして新しく企画した。これまでに2016年秋、2017年初夏の2回実施している。プレスリリースが発表された際には「泊まってみたい」という声が編集部スタッフの周りでも聞かれた。2017年の参加費は1人あたり1万3000円で、定員の30組60名に対して約20倍の応募があった。応募は20代後半~30代前半が多いという。

人気の理由の背景には、複合施設の強みを活かした内容の充実と、今どきの女性の心理がある。
イベントの内容と特典は以下のとおり。
・水族館のバックヤードツアー
・大型水槽前でのトークイベント、就寝
・ペンギンや魚への餌やり体験
・特別展の観覧(通常料金400~600円)
・サンシャインシティでの夕食、朝食、トークイベント時のアルコールとおつまみ付き
・水族館の年間パスポート(通常料金4400円)付き

参加費は一見高く感じるが、これだけの内容であれば女性はお得感を覚える。そして女性たちが何より注力するのは、同じパジャマを着たり歯ブラシをくわえたりした“おそろい”の状態で水槽の前で写真を撮ることだ。中には宿泊が困難になったが来場。パジャマ姿で写真だけを撮り、私服に戻って夜のうちに帰宅した参加者もいたという。こうした楽しみ方から、今どきの女性の「インスタグラム映え」「思い出消費」の重視が見えてくる。参加者の感想は「普段できないことを体験できてよかった」「特別感を感じられた」など。

水族館という癒しの空間で修学旅行のような体験ができる非日常のワクワクに、女性たちは価値を見出しているようだ。
美と季節のイベントを次々展開。1年中楽しめるスポットに
続いては朝のヨガレッスン。こちらは「サンシャイン女子道」スタート当初から実施しており、朝に習い事など自己投資をする“朝活”ブームの中で「サンシャインシティならではの朝活を」という社内の意見から生まれた。現在では他所でも暗闇ヨガなどが増えているが、異空間でのヨガの先駆けはサンシャインシティだ。7時半または8時半開始のレッスンを年に数回のペースで実施しており、水族館または展望台で体験できる。単にヨガができるだけでなく、水族館の大きな水槽の前で悠々と泳ぐ魚や、展望台で東京のパノラマを見ながら「視覚でも癒される」という付加価値が人気の理由だ。

また、サンシャインシティ全体で季節ごとのイベントも展開している。秋は9月6日から24日までお月見イベント「Moonlight City」を開催。2016年は抽選制で1日限りの飲食イベントを行ったが、今年は期間を設け、だれでも参加可能なイベントとなっている。女性に心と体を休めてほしい願いから、水族館の大水槽に満月に見立てた黄色いスポットライトを当てたり、展望台では9月18日まで畳の席を設けて和の空間を演出、満月をモチーフにしたスイーツの提供も行う。
海抜251mに位置する展望台での朝ヨガイベント。
女性に受け入れられる広告デザインと施設の有効活用
「サンシャイン女子道」を企画しているのは主に女性社員だ。企画のスタートには「サンシャインシティを知ってもらい、また来てもらいたい」という思いがあった。さらに「外出先の決定権は女性が持っていることが多い」という考えから、女性向けのイベントに注力するほか、広告なども女性に好まれやすいデザインにしている。
サンシャインシティのイベントポスターは手書きや手作り感のあるタッチが多く、女性的。しかし「女子過ぎない」、つまり男性にも嫌われないナチュラルなデザインだ。両性に好かれるテイストで大変参考になる。確かに、女性が集まる場所には男性も増える。前述の外出先の決定権もそうだが、「女性が入りづらい施設・店舗」と「女性も好む施設・店舗」であれば、男性が女性との外出先にピックアップしやすいのは後者だ。
お泊まりイベントや朝ヨガは、営業時間外の施設の活用にもなっている。女性にとってうれしい内容を、使われずにいる時間と空間で提供し、「サンシャインがこんなことしてるよ」とクチコミのきっかけにつなげている。実際「サンシャイン女子道」の活動を継続して実施することで、情報発信の機会やメディアに取り上げられる機会が増えたという。
水族館を一部リニューアルしたこともあり、2017年の来館者数は前年以上の伸び率を記録している。その中で「写真を撮るのが目的」と見受けられる客はやはり女性が多いという。取材に出かけた8月の平日午後も子連れのほか、カップルや女性同士の客でサンシャインシティ全体がとても混雑していた。
「ステキ女子への扉を開けよう!」というワードを打ち出し、資産を活用した美と非日常体験ができるイベントや魅せ方を次々と展開していくサンシャイン女子道。今後の企画からも目が離せない。
イベントのチラシは女性に好まれるデザインが多い。
COMPANY DATA
株式会社サンシャインシティ
東京都豊島区東池袋3-1 ワールドインポート マートビル6
PHONE:03-3989-3321
サンシャインシティSITE:https://co.sunshinecity.co.jp/
サンシャイン女子道SITE:https://sunshinecity.jp/jyoshido/

CASE.2 松屋銀座屋上ビアガーデン

松屋銀座屋上「美しくなるビアガーデン」にて浴衣姿での女子会の様子。

松屋銀座屋上「美しくなるビアガーデン」7割が女性客! リピーター続出

東京・銀座にある百貨店、松屋銀座の屋上に5月26日~10月9日までビアガーデンがオープンしている。
その名も「美しくなるビアガーデン」。
平日も予約が取りにくいという。なんとか17~19時の早い時間帯の席を押さえ、編集部で飲みに出かけた。

男性客もいるものの、圧倒的に女性客が多い。そしてみな写真を撮っている。あらゆる料理の見た目が華やかで、写真映えがするからだ。こだわりは見た目だけではない。コースのメニューすべてに豆腐を使用しているという。「美しくなるビアガーデン」の名に納得だ。
コースメニュー「美しくなる!BBQセットA」。
ビアガーデンに関する調査(回答者:20~60代の男女1523名、株式会社ぐるなび調べ)によると、「ビアガーデンに行きたい」「ビアガーデンが好き」という回答は50代男性と20代女性が多い。しかし「なぜ好きか?」の理由は、50代男性の1位が「ビールが好きだから」に対し、20代女性の1位は「非日常感を楽しめるから」となっている。また、女性が一緒に行きたい相手は「女子会で」がトップ。ビアガーデンは女性同士で楽しむ場所の候補になっている。

こうした流れの中で、抜きん出て女性客に特化している「美しくなるビアガーデン」。運営するソルト・コンソーシアム株式会社に取材した。
百貨店屋上の有効活用。1億円を売り上げるビアガーデン誕生
「美しくなるビアガーデン」は松屋銀座が「屋上のスペースを有効利用をしたい」とソルト・コンソーシアムに相談したことがきっかけでスタートした。ソルト・コンソーシアムは飲食店のプロデュース・運営を手がける企業。過去には東京ミッドタウンや六本木ヒルズにも出店し、女性向けのビアガーデンは松屋銀座の他に東京スカイツリータウン®や横浜高島屋、グランフロント大阪などでもそれぞれ異なるコンセプトで運営している。
松屋銀座はファッションや美容・健康に関心の高い女性が多く集まる場所。そうした女性をターゲットに、従来のフライドチキンやフライドポテトといった冷凍食品を使用したビアガーデンではなくヘルシーなイメージを打ち出すことを決めた。「アジアンラグジュアリー」「潤い」など毎年コンセプトを変え人気も年々上昇。今年は和ブームとスーパーフード(体に良い食材)ブームを背景に「tofu(豆腐)」とした。「今年はtofuで潤(うる)プル美肌」というキャッチコピーは、「ビアガーデンできれいになれる? こってりじゃなくて豆腐?」と驚きと期待につながる。これが女性客の心をつかみ、女子会の予約が入り続けている。お酒を飲めない女性も食事に行く感覚で楽しめる点が女子会として人気の理由だ。

客の7割近くが女性で、20~40代が中心だ。毎回売り上げは1億円を突破し、今年も会期終了までに同程度の売り上げを見込んでいる。
フライドポテトの代わりに豆腐のナゲット。
美容意識の食材・豆腐を写真映えするメニューにアレンジ
料理は「従来の豆腐料理ではなく、新たな豆腐の可能性を感じてもらえるメニューを提案したい」という想いのもと開発された。老舗豆腐メーカー・相模屋が若い女性に向けた豆腐製品を料理に合わせて提案、フードディレクター・白井絵美氏と共に試行錯誤をくり返した。スープやディップソースに始まり、グリーンカレーやカクテルに至るまで豆腐を使用したメニューが完成。豆腐=落ち着いた印象を覆す、色鮮やかで華やか、フォトジェニック(写真映えする)な見た目で女性が五感で満足できる内容になった。ビーツやチアシードといった美容・健康を意識した素材を使用している点も女性向けならではの特徴だ。
アラカルトのtofuカクテルは「のむとうふ」使用。
相模屋は今年「のむとうふ」を発売(※本誌vol.3の先読みレポートでも紹介)。ビアガーデンではコースメニューのお土産として無料提供されている。相模屋がトーキョーガールズコレクションでもサンプルを配布するなど、豆腐の消費が伸び悩む中で女性が集まるイベントに積極的にアプローチしている点も注目したい。
「のむとうふ」はコースメニューのお土産として提供。
浴衣でおそろいと非日常を楽しむ女性。コースメニュー割引も
今年は百貨店初となる可動式の屋根を完備し、小雨や夕方の日差しもしのげる。このため天候に左右されずに屋外のビアガーデンを楽しめる安心感がある。
さらに、浴衣で来店するとコースメニューが500円オフ。前回はかき氷のプレゼントだったが、今年はお財布に直結する仕掛け。このお得感に女性は敏感だ。グループ全員で浴衣を着ることで、女性たちはおそろいを楽しみ、ますますSNSにアップしたくなる写真を撮る楽しみ方にもつながる。

インスタグラムで「#美しくなるビアガーデン」のハッシュタグを付けた投稿は1000件を超え、「豆腐がテーマでヘルシーだけどお肉もしっかりで満足!」「ドリンクの種類も豊富で、ビールが飲めない私でも大満足」といった感想に、「また行こう」「私も行きたい」という友人たちの返信が並んでいる。

美容を意識した料理やドリンク、一目で「ここステキ!」と思える&友人に伝わるビジュアル。そうした要素を持つ場所はSNSを通じてクチコミの連鎖が発生しやすい。女性たちはクチコミし合いながら、こうした場所に今後も集うだろう。
COMPANY DATA
■店舗情報
美しくなるビアガーデン

東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座 屋上
PHONE:050-3187-9333
美しくなるビアガーデンSITE: http://utsukushikunaru-beergarden.com/

■主催企業情報
ソルト・コンソーシアム株式会社

東京都港区西麻布1-10-2
PHONE:03-3478-9510
ソルト・コンソーシアムSITE:http://www.salt-inc.co.jp/
Review
めちゃコミックの調査では、20~50代女性が女子会を行う頻度は「2、3か月に1回」が41%で最多。「月に1回」も19%。つまり半数以上が季節ごとに女子会をしている。マンネリを避けるため、今回紹介したような季節感や非日常感を楽しめる場所が人気となる。他にも「ラブホテル女子会」や「ナイトプール女子会」も話題だ。新鮮さのあるイベントを次々打ち出し、SNSで発信され、その友人も触発されるクチコミの連鎖が起きるかどうかが、女子会集客の鍵となる。
取材・文/長濱有莉

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